働き始めてからのブラッククリニックの見分け方

勤めているクリニックがブラックだから転職したい。

最近こんなご相談が増えています。

どちらかというと医療事務より看護師の方からのご相談が多いのですが、そもそも「ブラック」という言葉が独り歩きしてしまって、何が「ブラック」なのか良くわからなくなっているような気がします。

私が考えるブラッククリニックの判断基準を書いておこうと思います。参考になれば幸いです。

Contents

どこからがブラックか

ご存じの通り、クリニックには様々な診療科があり、規模によって労働形態も様々です。

個人経営のクリニックでは、医療法人と比べるとブラックの要素が強い傾向にありますが、中には標準よりさらにホワイトなクリニックもありますので、個人経営のクリニックが全てブラックというわけではありません。

労働基準法に準拠していないクリニックはだんだんと淘汰されてくると思いますが、「労働基準法通りではない部分がある=ブラック」という図式でものを考えてしまうと、多くのクリニックはブラックになってしまうことが予想されるため、許容範囲を定める必要はあると思います。

有給休暇

有給休暇は「賃金が支払われる休暇日」のことです。

労働基準法上、フルタイムで半年勤務し、全労働日の8割以上出勤していれば、正社員、アルバイトなどの雇用形態に関わらず10日間支給されます。以後1年ごとに支給される日数は増えていき、入職日から1年半で11日、2年半で12日支給されます。

これはクリニックであっても病院であっても同じ条件です。

法定以上の条件を設定しているクリニックもあるので、必ずしも上記の通りではないかもしれませんが、就業規則を確認しておきましょう。

ブラックの条件①
・有給休暇の支給条件が法定未満

【ご相談】支給される有給休暇の日数が違う

以前ご相談いただいたケースでは、半年勤めた際に支給される有給休暇の日数が12日だが、そこから支給される日数が増えないというご相談がありました。

たとえ就業規則に上記の規則が書かれていたとしても、労働基準法違反です。

しかし、このケースでは入職後2年半までは支給されている有給休暇の日数はむしろ多くなっています。まずは2年半勤めてから院長先生とお話しするのはいかがでしょうか。

有給休暇に関しては下記に詳細を記載しています。

残業

よくご相談があるケースでは、求人票に出されている残業時間と実質の残業時間が大きく異なるというものです。

例えば、求人票には「月の残業10時間程度」と記載がありますが、実際は毎月30時間程度ある。という状況です。

残業代が支給されていればブラックではない

どこまでを「10時間程度」とするかは曖昧ですが、少なくとも20時間以上あった場合には求人票とは異なるという解釈でよろしいと思います。

しかし、クリニックにも繁忙期と閑散期はありますので、年間を通して計算すると10時間程度の範囲に収まったり、昨年までは10時間程度であったが、患者様が増えたので残業も増えたという状況も考えられます。

時間通りに帰宅できないと大きな問題がある方にとってそれは死活問題かもしれませんが、時間外労働がきちんと計算されて支給されているのであれば、ブラックとまでは言えないのではないでしょうか。

ただし、残業時間の多さが大きな障害になっている場合は、スタッフの拡充や診療時間の調整を院長先生と話し合う必要はあります。

賞与

ボーナスに関しては労働基準法上必ず支給しなければならないものではありませんので、たとえ支給されていなくてもブラックとは言えません。

ただし、実際は賞与が支給されるはずだったのに支給されないという状況は限りなくブラックに近いと言えますので、支給されない理由がどのようなものなのか、説明を受けた方が良いでしょう。

賞与が支給できない1番の理由は「売上」ですが、その場合は「どこまで売上が上がれば賞与が支給されるのか」という点も聞いておいた方がよいです

ブラッククリニックの現状

ではどういう要素があるクリニックだとブラックといえるのでしょうか。私は判断のポイントは3つあると考えています。

給料

判断のポイントの1つ目は給料面です。

給料が契約書と異なったり、正当な理由がなく頻繁に遅配されたりするクリニックは確実にブラックと言えます。

もちろん「残業代が出ない・削られている」などという状況も同様です。

労働環境

2つ目は労働環境面です。

入職直後は見えない部分もあると思いますが、ブラックなクリニックはスタッフの入れ替わりが激しく、その中でも体調(特にメンタル面)を崩してやめていく方が多い場合はブラックといえます。

ただ、医療業界ではまだまだ、一般企業であればパワハラと言われかねないやり取りもお見かけしますので、どこをレッドラインとするかは判断の難しい部分でもあります。

勤めているうちに体調が悪くなったり、メンタル的に弱ってきたり、できればそういったSOS信号が出る前に判断したいものです。

休日・休暇

3つ目は休日・休暇です。

「毎週木曜日と日曜日が休診」のように休診日が決まっている場合は休日出勤になることは少ないですが、シフト制場合は、スタッフが足りないことを理由に休日出勤になるという状況が考えられます。

前述の離職率が極端に高い状況が重なると、このような緊急事態が起こりやすいので、日常的に休みが足りないことも考えられます。

休日出勤分の手当が出ていても、このような働き方では身体に大きく負担がかかるので決してお勧めしません。

そのほかにも、年間休日が記載と極端に異なる、有給休暇を取得するハードルが高く冠婚葬祭に出席できないことが多い、予定されていた夏期休暇や冬季休暇が院長先生の予定で直前に変更になるといったケースも場合によってはブラックと言えそうです。

最後に

ご覧になっていただくとわかると思いますが、「離職率が高い為に休日出勤が増えているのに残業代は削られる」というようにブラックの要素は連鎖します。※この連鎖はフルコースですが。。。

逆に申し上げると、「院長先生のアタリはきついけど給料は高い」という一部にブラックの要素があったときは、その一部を優れている部分と天秤にかけて、許容できるかを考えてみると良いでしょう。

許容できない時は転職活動をしなければなりません。

面接時にブラックかどうかを確かめるための質問集を下記にご用意したのでお役立てください。

ブラックな部分があれば労働基準監督署!?

「少しでもブラックなら労働基準監督署に行けばいいじゃないですか!」という方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、訴えるためにはかなりの数の証拠が必要ですので、体力と気力を消耗することは目に見えています。現在の職場に残ったとしてもとても居づらい状況は覚悟しなければなりませんのでお勧めしません。

そんなことをするよりは別のクリニックへ転職してしまった方が良いでしょう。

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