医療事務の給料はクリニックの場合高いの?安いの?

医療事務の給料の相場はインターネットで検索することができますが、検索をしてみるとかなり幅がある書き方をされていたり、クリニックと病院が混ざっていたりと、

一概に医療事務の給料の実態を捉えているとは言えません。

これから医療事務の仕事を始めたいと考えている未経験の方や、クリニックへ転職をご希望されている方にとって必要なのは「クリニックの給料事情」ですので、

今回はクリニックの医療事務の給料の現状をお話します。

私のクライアントの中でのお話が主になっているため、東京都内、東京近郊の事例となりますことをご承知ください。

Contents

クリニックで働く医療事務の給料明細

クリニックに勤めた場合、医療事務未経験者の相場は17万円から19万円(額面)が一般的です。

参考:『給料が安くても医療事務が人気職業なのはなぜ?

 

(額面)月収17万~20万(各種手当を含む。未経験で20万円はかなり良い方。)
残業代・交通費別途。賞与は年間基本給の3ヶ月分

クリニックでは、上記が比較的一般的な条件です。

額面20万円であれば、相場的には高い方と考えてよろしいのではないかと思います。

残業時間と残業代

クリニックで主任クラスのスタッフであれば、月20時間~30時間の残業は覚悟した方が良いでしょう。

2017.09.01補足
最近はこの残業時間をいかに減らすかという方向に動いているクリニックは増えてきています。設立されてからあまり日が経っていないクリニックの方が、残業時間を少なくする工夫を行っている傾向にあります。

 

クリニックにもよりますが、勤怠管理を厳密に行い、1分単位で残業代を支給しているクリニックはまだ少ないと考えます。

 

より現実的なシュミレーションを行うために、シュミレーション上は20時間分の残業代が支給されるとします。

より現実に近いシュミレーションを心がけている為あえてこのようにしています。
サービス残業を推奨しているわけではありませんが、クリニックで全員がサービス残業ゼロという環境は少々無理があるような気がします。

 

残業代は1時間あたり1,100円程度。

これは月給と1ヶ月の所定労働時間数によって変化してしまうので、厳密にはクリニックによって変わりますが、誤差は大きくても100円程度です。

 

月によっても残業時間数は変わってしまい若干開きが出ますが、シュミレーション結果は下記の通りです。

<残業代>:24,000円(額面・20時間分)

レセプト以外の残業

レセプトが電子化され、レセコンを使用してレセプトを行うようになったとしても、それ相応の時間がかかります。

そのほかに東京都であれば区の検診を受託しているクリニックも多く、その整理と申請業務に時間がかかるクリニックもあります。

(医師会や区の行政関係は紙ベースでの処理が一般的なため、全体的に時間がかかる傾向にあります。)

時間がかかるのは事実ですが、年次が上がると残業にかかる時間を極力減らせるように工夫できることが求められます。

 

「月20時間程度の残業は覚悟した方がよい」とお話しましたが、残業の内容は、診療時間の延長とレセプト処理のほかに、上記のようなケースも考えられます。

区の検診は毎年行われる月が決まっているので、業務が多くなる月と、全く業務が無い月に分かれるため、残業時間も時期によって変動します。

賞与(ボーナス)

労働法上、事業者側に賞与(ボーナス)を出す義務はありませんが、多くのクリニックでは年2回賞与(ボーナス)が支給されます。

 

月収17万円ですと基本給は15万円程度と推測されます。3か月分として計算をすると年間で45万円程度ではないかと推測されます。

<賞与(ボーナス)>:450,000円(額面)

 

賞与に関しては下記の記事もご参照ください。

クリニックで働く医療事務の年収

以上の条件を踏まえてシュミレーションしてみましょう。

※経験者として算定しています

月収:17万円 + 残業代1万5千円 → 18.5万円

(月収×12ヶ月)222万円 + 年間賞与45万円 → 267万円

この額をベースとし、勤続3年が過ぎた頃には何らかの手当がつき、年収300万円から、高い方で350万円というのが相場になります。

3年同じクリニックに勤めることができればほぼ全ての業務をこなすことができることを想定しています。

 

ご経験と転職先で役立つスキル(レセプトスキルなど)があれば、もっと高額を求めることも可能ではありますが、この段階になれば給与交渉を行いながらの転職も可能です。

 

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平均年収とその他の昇給要素

医療事務の平均年収として「300万円~400万円未満」という数値をみかけることがありますが、

この数値は長いこと医療事務として活躍している方までを平均して算出した金額と推測します。

医療事務未経験者の方が年収を400万円にするには、最低でも5年は勤務しないと難しいでしょう。

<参考>

勤続年数が増えても給料は上がらないのか

多くのクリニックは手当制度になっていますので、仕事ができるようになることで支給される手当が変更されます。

クリニックで働いている場合は、貪欲に昇給を求めながら、クリニックの為の行動を心がけて仕事を行うことが収入を上げる1番の早道です。

 

もし「給料が自分の実力に見合っていない!」と感じるようであれば、どのようにすれば収入が上がるのか、院長先生とお話してみるのも1つの手段です。

なお、私のクライアントでは同じクリニックへ勤続15年以上の方が3名(それぞれ別のクリニックですが)いらっしゃいます。

細かい収入は伏せますが、このクラスになるとクリニックの円滑な運営には欠かせないスタッフとなりますので、500万円以上の収入を得ているスタッフもいます。

詳しくは下記の記事をご参照ください。

資格の有無で昇給に差はでるか?

クリニックごとに定めている給与規定によって異なりますが、資格の有無が昇給に関わる可能性は十分に考えられます。

また、医療事務の資格に一律5,000円~10,000円程度の「資格手当」が支給されているクリニックもあります。

昇給に「資格」が関わる場合や資格手当がある場合は、資格を持っている場合と持っていない場合での3年後をシュミレーションし、資格取得に対する費用対効果を考えてみると良いでしょう。

<関連>

医療事務の給料は適切か

医療事務の給料の相場はあまり高くありません。高いか低いかといえば低いのでしょう。

それに加え休みは土日でないことの方が多いので、ハードな割には報われないという見解を出される方もいらっしゃいます。

 

結論から申し上げますと私はそうは思いません。

医療機関が倒産するということは、一般企業に比べればかなり稀ですし、医療事務経験者ということであれば就職へのハードルもぐっと下がります。

また、どの地方でもほぼ共通のルールで仕事をすることができるので、今まで行ってきたことがスキルとなって積み重なる仕事でもあります。

 

さらに景気の波に左右されにくいというのもあります。

景気が悪くなると求人が減ったり、リストラなどで仕事がなくなる方が増えますが、医療業界は景気の影響を受けにくく安定した雇用が実現できるというメリットがあります。

クリニックの医療事務と病院の医療事務の違い

クリニックの医療事務と病院の医療事務は「専門性」という部分で大きな隔たりがあります。

クリニックの医療事務は、仕事の範囲が広く、良く言えば様々なスキルを身につけることができると言えますが、

反面、仕事の幅が広くなる傾向にありますので、残業時間は多くなる傾向にあります。

 

給料面も重要ですが、細分化されたスキルを身につけたいか、それともゼネラリストとしての能力を身につけたいかも1つの基準になります。

個人的な意見としては、キャリアの中でどちらも経験しておくというのがベストです。

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