医療事務は有給休暇がとれない!?医療機関の時期変更権と解決方法

医療事務は有給休暇をとれない・・・
さすがにそう考えている方はかなり少数になってきたことでしょう。

労働基準法はどなたでも調べることができますし、「ブラック企業」のような言葉も一般的に認知されてきていますので、労働に対する皆さんの認識も高くなってきたのではないかと思います。

その一方で医療事務の方で有給休暇の詳しい決まりをご存じない方もいらっしゃいますので、

クリニックで使用されている有給休暇の決まりと実態をお話しします。

Contents

有給休暇の決まり

有給休暇(年次有給休暇)は労働者の権利ですので、クリニックの院長先生といえども、申請された際に断ることはできません。

かなり細かい規定があるのですが、ざっくり制度をお話しすると「休んでしまっても受け取る給料の額を減らされずに済む日」です。

アルバイトに有給休暇はある?

もちろんアルバイトにも有給休暇はあります。

勤務開始日から6ヵ月が経過すると発生するというのは社員と同じですが、支給される日数は労働時間の長さで変わります。

派遣社員やパート・アルバイトなどで働いている医療事務の場合でも、一定の日数は有給休暇を取得できます。 ただしフルタイムで働く人よりも有給休暇の日数が減るのでこの点は注意が必要です。

医療事務で有給休暇がとれないと思っているかたは少ないとは思いますが、医療事務にとって有給休暇とはどのような扱いなのかということはお話ししておいた方がよろしいと思います。

参照:パートで医療事務として務めてから社員になるというキャリアの積み方

「忙しい時期だから」と言われ有給休暇を取得できなかった

クリニックに有給休暇の申請をしたら、「今は忙しい時期だから」といわれ、有給休暇を取得できませんでした。

以前このようなご相談をいただきました。

まず、法的な話で申し上げますと、原則休暇を利用する理由は問われることはありませんし、スタッフが自由に利用できます。※看護師であって医療事務であっても同じです。

※相応の事情がある場合は院長先生にも拒否権があります。(後述します)

時季変更権

有給休暇を取得できないと言われた多くのスタッフは、この時期変更権を盾に交渉されたのではないかと考えらえます。

あなたが有給休暇を取得することで、クリニック運営ができなくなるなど事業に支障が出る場合に限り、クリニックは申請された有給休暇を、他の日に振り替えることができます(これを「時季変更権」といいます)。

ただこの時期変更権、多くの医療事務スタッフが同時期に長期の休暇を取得するなど、余程のことがなければ使用できません。また、時期の変更先をクリニックで決めることはできません。

事業に支障があるとは?

「事業に支障がある」ということは、客観的にその日に休まれたらクリニックが運営できない状態であるという具体的な事情があるときで、相当の事情がなければ使用することはできません。

また、スタッフが希望した時期に有給化が取得できるよう、状況に応じた配慮がクリニックに求められます。

このように、ただ忙しいからというだけで、クリニックは有給休暇の取得を拒否できません。

有給を申請して円満に受理してもらうには

私個人の意見になってしまいますが

「法律ではこのように規定されているので、いかに院長先生でも正当な理由なく拒否できませんよ」などといわないようにして欲しいと思っています。

確かに医療事務を雇用している病院・クリニックは、

①6か月以上継続して勤務している。
②8割以上出勤している

上記2つを満たした医療事務には、10日以上の有給休暇を与える必要があり、前述のように余程のことがない限りその申請を拒否することはできません。

ですが、クリニックの場合は少数精鋭で働いているところが多いので、1名でも長期で有給休暇を取得されてしまうと、クリニックの運営が滞る所が多いというのは事実ですし、有給を申請する方もそれがわかっていないわけではないでしょう。

・できるだけ忙しくない時期に取得する
・できるだけ前もって話をし、院長先生だけでなく周りのスタッフからも承諾を得る
・強引に行かない

円満に有給休暇を取得するために、せめてこれだけは守って欲しいと思います。

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