前回タバコについての記事を書いたところ、「休憩時間でもタバコを吸ってはいけないのか?」という質問をいただきましたので、こちらも記事にしたいと思います。
Contents
休憩時間のタバコは禁止にできるか
「勤めているクリニックの院内が終日禁煙になっており、勤務時間は9時00分~18時00分(休憩1時間)」という例をとりご説明します。
自由利用
休憩時間には「自由利用」という原則があり、他人の自由を妨げたり、特段の支障がない限り自由な行動が認められなければなりません。
しかし、休憩時間は労働していない時間でありながら、拘束時間中の時間でもあるので、「次の労働に備えて休息している時間」というのが本来の目的です。
そのため一定の拘束があるのが普通で、何をしても良い時間というわけではないのです。
休憩中のタバコは規制できるのか
判断の難しい項目ですが、きちんと就業規則にその点が書いてあるのであれば、それに従うのが1番でしょう。
様々な施設で全面禁煙が実施されている現在では、受動喫煙を防止する観点からも、クリニックや病院が院内を全面禁煙にしていることに、違和感を覚える方は少ないでしょう。
「院内に喫煙場所を設置すればいいじゃないか」というお声もあるかもしれませんが、クリニックや病院で分煙にするメリットは少ないように思えます。
スタッフの為の喫煙所を設けることで起こる2次的なリスクについても考えなければなりません。
喫煙は院外ですれば良い?
それならば「喫煙は院外で!」とお考えになるのも理解できますが、私は「権利」として認められるのは難しいのではないかと考えています。
クリニックがあるビルに喫煙所があったとしても、同じビルで仕事をされている方に、「あそこのクリニックのスタッフはタバコを吸っている」というイメージが付いてしまう恐れがありますし、
近所の公園や喫煙できる喫茶店などで喫煙していたとしても、患者様に見かけられる可能性があります。
ビルの陰で・・・なんてもってのほかでしょう。
勤務中の喫煙で考えられるリスク
まず始めに考えられるのは、「患者様からタバコ臭を指摘される」というリスクです。
タバコの匂いは口の中だけではなく、洋服や髪の毛にもついてしまうので、余程気を使わない限りわかる方にはわかってしまいます。
また、火を扱うので「隠れて喫煙したらそれが元でボヤがでた」などという可能性も否定できません。
喫煙者の主張
私もクリニックのコンサルティングを行う中で、お昼の休憩時の禁煙を設定した際、大きな反発を受けたことがあります。
下記はよくある主張です。
喫煙によってパフォーマンスが上がる
喫煙者の主張として1番多いのがこれです。
喫煙によって集中力が増す、切り替えができるといったもので、喫煙していないことが仕事のミスの言い訳になる場合もあります。
私は喫煙をしないので、実際のところどの程度の効果があるのかはわかりませんが、本当に「午後の診療にプラスに働く」のであれば、認められる要素はありそうです。
しかし、クリニックのイメージを損なうリスクと、アップするパフォーマンスを天秤にかけると、院長先生にご賛同いただくのは難しいでしょう。
喫煙者を採用しておいてそれはない
「入職の段階で喫煙するという申告をしていた」という主張です。
確かに一理ありますが、時代の流れは確実に禁煙に向っていることを考えると、「当時は問題なかった」というクリニック側の主張もまた一理あることになります。
禁煙外来を行っているクリニックであれば、これを期に、勤務時間のどこかで禁煙外来を受診できるようにするなどの協力をしてあげるのも良いでしょう。
結論
医療機関であるということから考えても、喫煙を「権利」とするのは難しいといわざるを得ません。
喫煙が「自由利用」のひとつとして認められる「権利」に該当するかは、1つポイントになりますが、
医療機関でなくても禁煙の施設が増えている昨今では、昼休みに喫煙できないことが自由利用の権利を侵害しているという主張は、やや無理があるのではないでしょうか。
喫煙者であること
前回も少しお話しましたが、特に医療機関では「喫煙者」というだけで転職の成功率は大きく落ちます。(その為、喫煙していないと答えるように指導しているのですが・・・)
就業規則内で社内外の喫煙が禁止になっていても、それは上記のような様々なリスクを防ぐ為という理由があるので、自由利用の権利には該当しないと考えるのが順当ではないでしょうか。