昔話で恐縮ですが、私が初めて医療業界に初めて入ったときは、「自分の常識がここまで通用しないか」と思われることもしばしば。
それまで経験がなったのだから仕方がないといえばそのとおりなのですが、当時の私は社会人経験も浅かったので、医療の資格を持っていないが故に、自分の居場所を探すのに苦労したのを覚えています。
本日は、その当時の記録や経験を振り返り、「クリニックの中で生きる6か条」をお話しようと思います。
読む年代によってとらえ方は換わってくると思いますが、初めて医療業界で働く時の参考になれば幸いです。
Contents
1,報告は短く。数字を使って具体的に
院長先生の人柄にもよりますが、院長先生は常に忙しい方だと認識しおきましょう。
クリニックは、院長先生を頂点とするヒエラルキーな社会ですので、忙しい院長先生が、いち事務員のために十分な時間などとってくれるはずがない。ということを前提としましょう。
スタッフ思いの院長先生もいらっしゃいますが、スタッフ全員とじっくり話ができているケースは稀です。
ここで肩を落としているようでは三流。
忙しくてじっくり話せないなら、それを踏まえてコミュニケーションをとりましょう。
ポイントは要点を伝えて、食いついてきたところだけ詳しく話しましょう。また、数字が関連する内容は、要点に必ず数字を入れましょう。
2,院長先生の視点を持ち理解者になる
院長先生とはクリニックの社長です。
院長先生のほかにドクターがいたとしても、経営者は悩みを相談できる方はそうはいません。経営者ではないあなたがすべてを理解することは難しいでしょうが、理解しようとする姿勢が何より大切です。
誤解しないでいただいたいのは、決してゴマをすれという意味ではありません。ただ、辛さを分かってあげられるスタッフは重宝されます。
医療事務はドクターでも看護師でもありません。医療従事者ではないということをハンデに感じるシーンもあるかもしれません。
彼女らが持っていない武器を持ちましょう。
院長先生の悩みの多くは、売上や人件費など、お金に関すること、スタッフの退職に関することなのですから、数字を交えて要点を話し、費用対効果を明確にする。
スタッフの中で不満が出ているときは、「ここだけの話」として情報共有をするというのもいいでしょう。
3,ミーティングの前々日にレジュメ提出
院長先生が忙しいということに起因しますが、ミーティングにはレジュメを用意すべきです。
クリニック内でミーティングを行うことは珍しくありませんが、院長先生の独演会になってしまっていたり、意見がまとまらなかったり、
成果を得られていないことが多いのではないでしょうか。
ミーティングにレジュメを作成するのは基本中の基本。積極的に関わる姿勢があるのなら、何も言われなくても用意しましょう。
レジュメの期日は前々日
レジュメを作るなら、院長先生への提出期限はは前々日に設定すべきです。
当日ではほぼ準備ができませんし、院長先生からすれば「急に言われても・・・」ということもあるかもしれません。
しかも、直前に渡された資料を元にしたひらめきだけで方向を定めることに抵抗がある院長先生は多いので、当日では作っても役に立たないレジュメになってしまいます。
もし、レジュメ担当が担当制になっているなら、他のスタッフが前日の夜や当日に提出しているところ、あなただけ前々日だったら、それだけで他のスタッフとの違いが出せます。
続けていれば「意見を聞きたい」と言われるまでそう時間はかからないのではないでしょうか。
4,仲間の仕事を手伝う
「仲間」というと、医療事務は医療事務のスタッフ同士のことを考えてしまう傾向にありますが、ここでは「クリニックの仲間」ととらえてください。
ドクターや看護師の仕事は手伝える仕事内容に制限はありますが、何もできないわけではありません。
そもそも、自分の仕事に余裕がなければ、他の業務までは手が出せないかもしれませんが、診療室の中で何をやっているのか知らないのに、患者様への案内ができるわけがありません。
現場でドクターや看護師を手伝うことはできなくても、大きな視点でクリニック全体を見て、自分ができることをサポートしていけば、院長先生にも、他のスタッフにも感謝されます。
サポートと呼べないような「お手伝いレベル」でいいので、専門外の領域へも足を踏み入れて一緒に仕事をしてみてはどうでしょうか。
5,先回りこそ仕事が出来る条件
先回りして仕事をするのは難しそうと考える方もいらっしゃると思いますが、別に大きなことでなくてもかまいません。
院長先生の行動を先回りして、必要なものをそろえておくだけで良いのです。
例えば・・・
「業者が連絡して欲しいといっている」と連絡に来た医療事務。でも連絡先は調べないとわからない。
これでは院長先生が業者の連絡先を把握しいていない限り二度手間になります。
相手の行動をほんの少しだけ先読みすればできることですが、これをしない医療事務は意外に多いのです。
普段心がけていないかたにとって、「先回りして準備する」ことは、日々トレーニングが必要ですが、これだけでも評価は上がります。
6,押し付けられるのではなく、仕事を選ぶ
これは自衛の手段です。
クリニックでは、できる仕事の範囲が広いひとは、幅広い範囲の仕事をプラスαで受けることになります。
しかし、働ける時間は有限です。
どんなに仕事ができる医療事務でも、降って来る仕事を全て受けていたのでは潰れてしまいます。
ただし、手を挙げることも重要。医療事務の業務にプラスαをつけることが出来るのは、今後の強みになります。
これは「都合よくなんでも任される人」になるのとは異なります。
若い医療事務の方にお願いしたいこと
比較的世代が下の方は、医療事務になられても「ブラック」であるかを気にしすぎる傾向にあります。
プラスαの仕事を嫌い、定時が過ぎたらいかに早く帰宅するかを考える・・・。
行わなくてはならないことを、時間内に終わらせる努力をし、次は前回より短い時間で片付けられるようにすることが仕事の基本であって、
時間内に終わらないから仕事量を少なくするというのでは本末転倒です。
7,仮説をたてて行動する
特に受付業務では、接客業の要素が強いため、相手の様子を見れていないなど、ある程度トライアンドエラーが必要な業務もあります。
ドクターなら1つのミスが命取りかもしれませんが、医療事務のミスなら余程のことがなければ命に関わることはありません。
もちろん「申し訳ありません!」という態度は必要ですが、悔やんで仕事のパフォーマンスを落とすことのないようにしましょう。
最後に
私がクリニックで働いた経験を元にしてお話してきましたが、「こんなの無理だ」という声もあるでしょう。逆に、「常識じゃないか?」という意見もあるはずです。
特にクリニックの多くは、社員の数が10名以下の小規模な組織です。
少数精鋭でクリニックを支えているので、その中にオールラウンドプレーヤーが1人いれば、円滑に進むことは多いのではないでしょうか。
クリニックによっては、診療以外の仕事を事務長様が取り仕切っていることもありますので、その場合は、事務長様の立場を考えて行動するほうが良いかもしれません。