クリニックの医療事務に危険手当は必要か?

先日緊急事態宣言は解除されたものの、医療関係者にとってコロナウィルスとは未知の戦いであり、クリニックで働いている医療事務にも医療手当を出すべきだと言う声も強くあります。※少なくとも私のクライアントではそうです。

危険手当が支給されることが迷惑と感じる医療事務はいないと思いますが、クリニックの健全な運営を考えると、支給すべきかどうかはケースバイケースだと考えています。

医療事務の感染リスクは高いのか

危険手当は感染リスクの高い職種により多く支払われるべきですが、医療事務は医師・看護師など診療に直接かかわる医療従事者とに比べ、患者さんとある程度の距離を取りやすく、感染リスクが高いとは言えないと思われます。

医師事務作業補助者や総合病院にお勤めの医療事務の方の中には当てはまりまらない方もいると思いますが、あくまでスタッフ10人未満のクリニックのお話です。

ソーシャルディスタンスのように2メートルは難しいと思いますが、カウンター越しでの距離は取れますし、クリニックでも受付に飛沫防止のためにフィルムを張るなどの工夫をすれば、リスクはかなり軽減できます。

来院患者数や院内の環境で感染リスクが変わることを考えても、クリニックで働く医療事務に危険手当が必要という主張には首をかしげてしまいます。

気持ち程度の金額なのだから環境整備を優先すべき

高リスクではない医療事務へ高額の危険手当が支払われることは考えにくく、支給される危険手当の金額はおそらく「気持ち程度」です。少しでも手取りが増える方が良いでしょうが、私はその「余剰金」はまず院内の環境整備に充てるのが先だと考えています。

私のクライアントでも、受付に飛沫防止のフィルムを貼ったり、院内の空調を整えて換気を良くしたりと環境をスピード感をもって(これ重要)整備しているクリニックは、危険手当を支給していなくてもスタッフの不満を取り除けている印象があります。(全てではないのでしょうが。)

危険手当を求める医療事務は、今後も新型コロナウィルスの感染リスクがあることを主張すると思いますが、患者様が減っている中原資は限られているわけですし、手当より労働環境を整える方が優先順位が高いのは言うまでもありません。

危険手当を支給するなら

それでもスタッフの不満を抑えるために危険手当を支給するのであれば、支給額はよく考えるべきです。どこからが「高い」のかは意見の分かれるところですが、私は月額の5パーセント以下となることが目安だと考えています。10パーセントを超えるのは出しすぎです。

医療事務の月給も様々ですが、仮に月給を額面で20万円だとすると、危険手当を20,000円以上支給するのは出しすぎなわけです。

あくまで目安です。

同時に期限を設定する

危険手当を支給する場合「いつまで支給するか」も問題です。

長期間支給したり、感染リスクが極度に下がっていても支給していたりすると、危険手当がなくなったときに「給料が減った」と感じてしまいます。

一時的に支給しているはずが、支給している根拠すらはっきりしなくなることも考えられますので、支給額と同時に「いつまで支給するか」を決めておかなければなりません。

設定した期限までに感染リスクが低下しなければ支給を延長すればよいだけです。ただし、1か月ごとに様子を見て更新のようにしているとケチ臭さが漂ってしまいますので注意です。

変動性はお勧めしない

患者様の来院数他いくつかのリスクを考慮して金額を算出する「変動性」に関してはお勧めしません。

合理的な考え方の院長先生の中には採用されている先生もいらっしゃると思いますが、変動制の報酬は最低限にとどめておくことをお勧めします。別の記事でも紹介しましたが(下部参照)変動性の給与は好みがわかれます。特に今の若い世代は安定的に固定給をもらえる待遇を好む傾向にあります。

一見公平ではあるけれど・・・

変動制は一見公平ですが、算出の根拠が曖昧になってしまったり、複雑すぎて医療事務には難しかったりすることもよく起こります。

支給金額が大きければ不満は出ないかもしれませんが、変動制を採用する目的は総支給額を抑えることにあるわけですから、金額が「少ない」ことに理解を求め、時には丁寧に説明しなければならない手間がかかることを考えると、安定的な運用は困難です。

給与担当も毎回計算をすることになりますし、見えないコストが大きい場合が多いのです。

賞与で支給

危険手当を支給していないクリニックでは、慌てて危険手当を導入するより、賞与(ボーナス)を増額するという方法もあります。半年に1回賞与を支給しているクリニックであれば、賞与は支給日までの半年間における評価を考慮して支給される決まりになっていると思いますので、

「3月の中旬から5月末までの2か月と少しの間、新型コロナウィルスの感染リスクが高い中でよく頑張ってくれた」

と熱く伝えながら 笑 いつもの賞与へプラスアルファすのも良い方法です。

賞与で支給する場合の注意点

賞与を例年より増額したとしても、内訳がはっきりしていないと疑念につながります。

賞与の支給額が「基本給の1.5倍」と決まっていれば、そこに+医療事務は30,000円 看護師は50,000円(金額は一例ですが)のように、内訳をはっきりと提示することが効果的です。

まとめ

危険手当を支給しているクリニックでは、おそらく支給条件に緊急事態宣言のような「公的な」指標を組み合わせていると思います。緊急事態宣言は日本の全地域で解除されましたが、新型コロナウィルスの感染リスクがゼロになったわけではありませんので、今後もしばらく危険手当の交渉の場につく院長先生も多いと思います。

少しポジティブに考えすぎかもしれませんが、たとえ医療事務であっても、医療機関に勤めるということは感染のリスクをゼロにはできないことを理解してもらう良い機会と捉えるのはいかがでしょうか。

クライアントのスタッフの中には「危険手当!危険手当!」と騒いでいるのに、自粛期間中に旅行に行っていたことが発覚したケースありました。

法的には従業員のプライベートまで制限はできませんし、支給した危険手当がその原資になってしまう可能性も否定できないのですから、支給するとしても金額は気持ち程度で良いと思うのです。

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