少数精鋭で運営しているクリニックにとって、退職者が出ることは歓迎されません。
人数の減少で運営が厳しくなったり、院内の雰囲気が変わったりすることで、さらなる退職者が出てしまう可能性も考えられます。
特にクリニックの院長先生は、残ったスタッフの不満を解消しながらの運営が求められます。
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退職者の弊害
例えば医療事務3人で運営していたクリニックがあったとします。
そのうちの1人が退職をしてしまい、募集しているもの、なかなか応募が来ません。
この時、残ってくれる2人の医療事務スタッフは、単純に計算しても、1人につき6分の1仕事が増えるわけですから、スタッフとしても歓迎できる状況ではありません。
対策が「募集を出している」のみでは足りない
院長先生をはじめとした管理者と医療事務スタッフが、どの程度の信頼関係で結ばれているかで多少変わりますが、
「募集はかけているが応募が来ない」という状況を、「仕方ないこと」で片付けてしまっていると、その期間が長くなるほどにスタッフの不満がたまります。
一時的に給料を上げるのはどうか
募集人数が1名では、捻出できる経費にも限界があることから、募集の窓口を増やす方法は慎重にならなければなりませんが、それを理解できるスタッフばかりではないでしょう。
「それならば新人が入社するまで、一時的に(少額の)手当を給付しよう」
とお考えの院長先生もいらっしゃると思います。
1つの方法ではありますが、行う場合は支給額を少額にしておくことをお勧めします。(目安は多くても1万円です。)
不満が出ていると、人数が少ない時くらい少し手当を出しても・・・とお考えになるかもしれませんが、新人が入った際に、給料を元に戻すことで新たな不満が噴出する可能性があります。
給料を上げる以外の対策
前述のように、短絡的に苦労をかけるから給料をアップすると、目の前の問題は解消できても、その場しのぎの対策でしかありません。
そのため、給料以外の方法で不満を解消する必要があります。
スタッフを食事に連れて行く
スタッフと食事をすること自体は、クリニックの院長先生であれば頻繁に行われていらっしゃると思いますが、多くの場合やり方が思わしくありません。
お支払いは院長先生が行われるのですから、院長先生の自由と言えばそのとおりなのですが、下記の項目に1つでも当てはまると、良い成果は得られないのではないかと予測します。
・参加を強制にしている
・独演会をしている
・特定のスタッフだけを連れていく
・必要以上に高い店を選んでいる
強制参加にしている
せっかく食事会を開き、そこでコミュニケーションを開くのですから、スタッフ全員に参加してほしいというお考えは当然ですが、
特に最近の考え方では、「プライベートな時間を大切にしたい」という価値観があることを忘れてはいけません。
院長先生にとって、身を削りながら築いてきた城であることを理解できるスタッフは多くありません。(そのようなスタッフを育てていかなくては安定しないのですが・・・)
もしスタッフ全員に参加して欲しいと考えているのであれば、安易に強制参加とするのではなく、
食事会を行う目的と、候補日を明らかにし、参加を前向きに検討してもらうようにすべきです。
独演会をしている
食事会と称してのミーティングになってしまっていると、食事会を開くたびにスタッフから不評をかいます。
特に院長先生が話している時間が長いほど、普段行うミーティングと大差なくなってしまうので、食事会の意味がありません。
食事会で「多変だけどみんなで頑張ってほしい!」と伝えたいのであれば、1人1人と話しながら、仕事の話とプライベートの話の比率を注意しましょう。
食事会であっても仕事の話ばかりでは息が詰まると考えるスタッフは意外に多いのです。
特定のスタッフだけを連れていく
お気に入りのスタッフとクローズのランチミーティングやディナーミーティングを行っている院長先生もいます。
何のトラブルもない時は、指示系統がはっきりして効率が良いかもしれませんが、退職者が出ているしわ寄せは全員に来ているので、
特定のスタッフだけで食事会を行うことが不評を招き、スタッフ同士の溝を広げかねません。
「秘密にしているから大丈夫」なのかもしれませんが、秘密ではなくなったときのリスクを考えるべきでしょう。
必要以上に高い店を選んでいる
このような時は「スタッフが普段いけないようなお店で」という選択はあまりお勧めしません。
普段いけないような高価なお店の方が、スタッフは感動するかもしれませんが、意見を集めるには向きません。
食事会の本来の目的である「大変だけどクリニックのために頑張ろう!」という想いを共有しにくい環境といえます。
スタッフの収入では、普段行けないような高いお店を選ばれるときは、実績を出したご褒美というコンセプトがよろしいのではないでしょうか。
スタッフ全員と面談を行う
食事会と並んでメジャーな方法かもしれませんが、スタッフ1人1人と面談をする方法もあります。
現状のクリニックに対する不満をリサーチしながら、より良い環境を作っていくためだということを広く伝えれば、スタッフも協力してくれることでしょう。
院長先生が行う場合は要注意
ただし、院長先生と1対1で面談を行われる場合は注意が必要です。
忌憚のない意見を求めても、スタッフが緊張したり、気を使ったりして、現状を正しくリサーチできないケースもあります。
別の管理者を同席させる
クリニックの場合、医療事務・看護師それぞれのリーダー職の方が同席するのが1番良いと思いますが、
院長と1対1にならないような工夫をされてはいかがでしょうか。
管理者との面談は1対1でも問題ありませんが、入職してからまだ日が浅いスタッフにとっては、院長先生と1対1で話すのは負担になることを、意識してあげてください。
匿名性を担保する
せっかく面談でリアルタイムな情報を得ることができても、情報の出所が明らかになってしまうようでは、大きく信頼を失ってしまいます。
「大した情報ではない」と思っても、匿名性を保って信頼を得ることが、今後のクリニック運営にも大きく影響します。
残業を出す
院長先生が面談を行う場合は、おのずと診療後の時間になります。
通常面談は15分から30分程度で行われますので、協力してくれたお礼を渡したり、残業代を出すなどして、面談を行ったこと自体に不満を持たれないようにする気配りも必要です。