医療事務の給与について何度かお話しておりますが、医療事務で就職してひとり暮らしでやっていけるのかを検証してみましょう。
診療科・規模・地域に加えクリニックへの貢献度と評価制度でもらえる給料に差はありますが、今回は東京を例にとってお話していきます。
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ひとり暮らしのシュミレーション
医療事務で働きながらのひとり暮らしをシュミレーションしてみましょう。
医療事務の給料は、未経験でお仕事を始める方ですと額面で16万~18万、経験3年以上あれば19万~21万程度です。
<参考>『給料が安くても医療事務が人気職業なのはなぜ?』
東京のクリニックで働きながらひとり暮らしをするとどうなるでしょうか。
※今回は女性の方のひとり暮らしを想定しています。
東京の家賃相場
家賃を3割に抑えるとなると、未経験の方で5万円~6万円、経験者3年異常の方でも6万円~7万円で抑える必要があります。
この価格帯では都心のある程度セキュリティーがある物件に住むことは難しく、予算を上げるか、通勤時間1時間以上を覚悟して、比較的家賃の安い郊外へ住むというどちらかの選択が必要です。
しかし、長く仕事を続ける為には体力も重要な要素ですので、いくら交通費が全額支給されるからといっても、ひとり暮らしであまり遠方に住むのは望ましくありません。
特に医療事務はある程度の残業が想定できる職種ですので、予算以外にも考慮すべきです。
家賃が安ければクリニックの近くが良いか
「家賃の問題さえクリアできれば近いほど良いか」というとそうとも言い切れません。
普段いらっしゃっている患者様の多くは、クリニックから徒歩圏内、もしくは1駅程度のエリアにお住まいでしょうから、生活圏を診療圏の外に置くことを心がけましょう。
患者様にも様々な方がいらっしゃいますので、プライバシーが守られない状況や最悪の場合ストーカー被害の可能性も否定できません。
女性のひとり暮らしということを考えると、ある程度の匿名性は必要です。
クリニックから徒歩圏内に住む、もしくは徒歩圏内のクリニックに勤めるというのは、安全面からあまりお勧めしません。
住宅補助はあるか
日本全体で見ると住宅補助制度は一般的な制度ですが、私の知る限り住宅補助を出しているクリニックはほとんどありません。
ひとり暮らしをするからという理由で新たな手当ては期待できないでしょう。
ボーナスや残業代をどう考えるか
ボーナスも残業代も予想を下回る可能性がある不安定な収入ですので、家賃などの固定費として考えない方が良いでしょう。
ボーナスは年間で2ヶ月~4ヶ月程度ですし、クリニックの業績によっても変動してしまいますので、生活費ではなく、趣味や余暇を過ごすために使用したいところです。
その為にも、家賃・光熱費・食費・交際費などの主な出費は月々の給料でまかなえるような予算配分を考えましょう。家賃の予算が上がるとその分食費や交際費の予算を下げなければなりませんので、あまり無理はしないことです。
給料を上げる為にどうすれば良いか
では給料を上げるためにはどうすればよいのでしょうか。
給与交渉することも時には必要かもしれませんが、クリニックで医療事務として働いていらっしゃるなら、まずは勤続年数を伸ばすことから始めましょう。
給料を査定する際、ある程度の勤続年数が無ければ、仕事ができても候補にすら挙がらない可能性も十分考えられるからです。
医療事務のスキルを上げる
クリニックでは病院と異なり、医事課と事務課の明確な区別がありません。
そのため、医療事務として資格をいかしつつ、一般事務のスキルを身につけることも可能です。最終的には事務長など管理職への道も開けます。
「医療事務は若い女性が多い」という印象があるかもしれませんが、彼女たちをマネジメントできる管理職の仕事ができる方はなかなかいらっしゃいません。
現場からの信頼を得るための最大の近道は現場での経験があることですから、勤続年数を伸ばすとともに医療事務のスキルを上げるというのも重要な要素です。
医療従事者から認められるようになる
クリニックで働いている医療事務は、医療機関で働いてはいますが、「医療従事者」ではありません。
医師や看護師など国家資格を持った医療従事者と比べ、始めのうちは特に地位が低いとか、扱いが悪いと感じる方もいらっしゃるでしょう。
比較的離職率が高い職種ですが、勤続年数を伸ばしスキルを上げていけば、必ず信頼を勝ち取れる日がきます。
クリニックの別の職種の方々(特に医療従事者)からの揺るがない信頼があれば、おのずと給料もあがるでしょう。