『クリニックの医療事務の給料相場は高い?それとも安い?』や『給料が安くても医療事務が人気職業なのはなぜ?』でもお話したとおり、医療事務の給料は高い部類ではありません。
しかしそれは「多くの医療事務は」ということであって、例外は幾つもあります。
私のクライアントのクリニックで働いてる医療事務の中には年収500万円を超えるスタッフも3人程いらっしゃいます(ちなみにどの方も事務長職との兼務をしていらっしゃいます)ので、
医療事務の中で高い収入を得る為にはどのような要素が必要なのか、将来の展望についてお話しましょう。
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売上意識
クリニックの経営に携わらないまでも、事務長職にある方は売上に敏感でなければなりません。
昨年と比べてどのような状況なのか(昨年対比)ということや、来院患者様の年代やニーズを分析し、状況をわかりやすく院長先生へ毎月報告するなど、この項目は今すぐにでも始めていいただきたいことばかりです。
場合によっては担当税理士との面談に参加したり、直接やりとりを行うこともあるでしょう。
スタッフが売上意識を高めるメリット
こういった仕事は私のような外部の人間でも行うことができるのですが、スタッフにこのような方がいらっしゃれば、現場での肌感覚を報告に加えることができますので、リアルな現場の意見を聞くことができるメリットがあります。
また、算出された数字に対して自分の意見を添えられる方は、そのクリニックで中心として仕事をしてきた方であることは容易に想像できます。
ここまでの仕事をはじめから行うのは難しく、はじめは任せてもらえないかも知れませんが、それでも「さらにクリニックが発展するために」というというテーマを持って仕事に取り組むことからはじめましょう。
ホームページなどの広報
クリニックの売上は患者様がいらっしゃることで成り立ちます。
医師法の関係で医療機関の広告は制限がありますが、2016年5月現在、クリニックのHPによるPRは問題ありません。
ただし、バナー広告などのCMはできないので、SEOを整えて検索サイト経由でアクセスを集めることが戦略の中心に置かれます。
このような話はあまり得意ではない方もいらっしゃると思いますが、規制されたルールの中で「どのように患者様を増やしていくか」という考え方ができるスタッフは非常に貴重ですので、大きな評価の対象になるでしょう。
運営
クリニックを経営するうえで診療が円滑に進むかどうかという話も非常に重要です。患者様の情報をどのように共有し、来院から診察、診察から会計までの流れを円滑にし、患者様から見てより良いクリニックを作っていく力が求められます。
運営面を考える上で、患者様の満足とクリニックの利益をきちんと確保することが求められますので、患者様の意見ばかりに振り回されていては成り立たないのが難しいところです。
クレーム処理
クリニックであれば標榜している科目や地域に関わらず気難しい患者様もいらっしゃいます。
昨今医療事故が騒がれているせいか、ちょっとしたことでも「これは医療事故ではないか?訴えるぞ」というようなことをおっしゃる患者様もいらっしゃいます。
最終的にはお互いに弁護士をたててというケースもありますが、そうならないためにも、できるだけ早めに概要を把握し対応しなくてはなりません。
クレーム対応に相手の言うことに何でも「申し訳ございません」と言っていると、たとえそれが言いがかりであっても、その事実をクリニックが認めたことになってしまいますので、クリニックで対応が間違っていない場合は毅然とした態度で接する必要があります。
また、対応の非を全て認めてしまえば、診療していた医師にまで被害が及ぶ可能性ががあります。
患者様の訴えに耳を傾けながらも、事実関係を明らかにして患者様、医師の双方へ説明ができなければなりません。
接遇レベル
『丁寧すぎてもダメ!医療事務の接遇や言葉遣いは難易度が高い』でもお話していますが、クリニックの接遇は時間をかけ丁寧に行えばよいというものではありません。
患者様の声に耳を傾けながらも運営状況を確認し、患者様からないがしろにされている感をいかに減らせるかというのも課題です。
後輩への指導
ご自身のスキルもさることながら、スタッフを定着させ離職率を下げるというのも大事な仕事です。
仕事ができるようになると、なんでも1人でこなせるようにと仕事を抱え込む方もいらっしゃいますが、ご自分のスキルがいかに高くても、1人でできることというのはたかが知れています。
所属しているスタッフの医療事務レベルが平均的に高いことは、クリニック全体で考えれば非常にプラスに働きますし、
チームとして医療事務の他の面々をまとめていくことができれば、休暇を安心してとることができます。
後輩へ指導するときの注意点
「高いレベルの医療事務を育てると自分の給与は上がらないのではないですか?」
というご質問を頂戴することもあります。
確かにその側面がないとは言えませんが、1人でクリニックの業務を抱え込むのは、仕事量は現実的ではなく、長く続けることが難しくなる働き方です。
クリニック側からすると、指導力の高さを評価するのは難しいのですが、日々研修を行うなど、積極的に後輩の教育を行っているというアピールは必要でしょう。
それでも心配であれば、自分しかわからないことを1つか2作ればよいだけです。
院長先生を立てる姿勢
「ドクターは偉い方が多い」という話は、医療事務で働いていればご納得でしょう。
さすがに言葉に出した方はそうはいらっしゃらないと思いますが、医療事務に強くあたるドクターはまだまだ多いでしょう。(全員ではありませんが。)
クリニックの院長先生となれば、自分のスタッフを使用人のように扱う先生もちらほらお見かけしますが、多くの場合、本心は違うところにあったりします。
特に女性の先生には多いのですが、「なめられないように」と常に気を張っていらっしゃるだけということもありますので、
できるだけ院長先生のことを立てながら、少しずつ自分の意見を採用してもらうというずるがしこさも必要です。
最後に
このレベルに達するには、少なくとも医療事務の現場経験が5年以上は必要です。
「少なくとも5年」ですので、人によってはもっと必要かもしれません。
また、クリニックでは院長先生の意見がいちばん強いので、いかに仕事ができても、院長先生と対立してしまっては昇給どころではありません。
医療事務として年収500万円以上の給料を手にするのは決して楽な仕事ではありませんが、目指してみる価値はあるのではないでしょうか。