せっかく内定をもらったけれど辞退したい
看護師の方でも医療事務の方でも、仕事ができる方は転職活動で多くの内定を貰いますし、「選びたい」という願望が強い方が多いので、辞退しけれならない内定もあるはずです。
内定が中々もらえない方からすれば羨ましい話でもありますが、本日は内定辞退についてお話します。
Contents
いくつも採用面接を受けることは悪いこと?
内定を辞退する理由で最も多いのは、「他のクリニック(もしくは病院)で勤めることにした」でしょう。採用側ではしばしば「他決(たけつ)」といいます。
採用側の意見とはやや異なるかもしれませんが、私は就職活動中であれば複数のクリニックを受けるのは当然であると考えています。
採用側は内定を出した方と一緒に働きたいと考えていますので、その想いに反するという意味では「悪い」かもしれませんが、何かに違反しているわけではありません。
面接で「他にも内定をもらっていますか?」と聞かれた場合の対策は下記の記事を確認してください。
内定を承諾した後
しかし、クリニック側にも人員計画がありますので、内定を承諾した後となるとそう簡単にはいきません。
看護師でも医療事務でも手順はほぼ同じですが、通常内定が出た時点で電話連絡を行います。後日クリニックにご来院いただき、誓約書にサインをいただき、今後の勤務日の決定や担当していただく仕事の確認を行います。
誓約書にサインし、今後のスケジュールを決定した段階で内定を承諾したと解釈しますので、それ以降に辞退するというのは避けるべきだと考えます。
承諾した後の辞退は違反じゃないから大丈夫?
法的には問題無いから大丈夫
という意見もありますが、はたしてそうでしょうか?
たとえそうであったとしても配慮に欠けるのは明らかですし、辞退しないにこしたことはありません。
特にドクター同士は地域や大学のつながりが強いので、法的には問題が無くてもそのような配慮の無い行為が広まってしまう可能性も否定できません※ので、内定を承諾する際はよく考えて行動する必要があります。
内定辞退の理由
内定辞退の理由は正直に言うのが1番だと思いますが、諸事情で嘘をつかなければいけない場合は、ご自身では避けることができない事情が使用される傾向にあります。
良く使われる内定辞退の理由
ご主人の転勤や体調不良
ご両親の介護や事故
お子様関係のトラブル対処
などが一般的です。
複数採用面接を受けていて別のクリニックへ行くという状況であれば、それをそのまま伝えれば良いでしょう。採用側としては「どこが決め手になったか」という情報は参考になる場合もあります。
出向かなければいけないか
せっかく貰った内定を辞退しなのだから直接出向いて謝罪すべき
という考え方もあるようですが、辞退することが決まっているのであれば、わざわざ出向く必要はありません。
直接院長先生に謝罪しなければならないのは、他のドクターからの紹介など縁故の場合のみでよろしいのではないかと思います。
内定を断る時期
前項でもお話しした通り、皆さんが「内定を辞退する」とおっしゃる状況には2段階あり、文字通り内定の状態を辞退するのであれば大きな問題にはなりませんし、クリニックとしてもその方と働くのはあきらめざるを得ません。
遅くとも内定をいただいてから1週間以内には、内定を承諾するかどうかの結論を出しましょう。
承諾してからの辞退は様々な軋轢を生むので絶対に避けるべきです。
紹介会社を利用した場合
紹介会社を通した場合でも原則は通常の応募の際と同じですが、もし内定を承諾した後に辞退する場合でも、紹介会社の担当を間にはさむことができるので、クリニックと直接やりとりせずに進めることができます。
内定辞退で発生するトラブルの例
どの時点で「辞退」されるかによって、トラブルの質は変わりますが、私が今まで受けてきた相談の中で幾つか事例をご紹介します。
もっと早くいってくれないと困る
「もっと早く言ってくれなければ困る」
「失礼だと思わないか」・・・のように
特に看護師の面接で多いのですが、面接の際はとてもいい印象でも、内定を断ったらまくしたてられるという事例は良くあります。
現在働いているスタッフに無理をさせているという現状があるのかもしれませんし、採用活動にかかる経費を気にされているのかもしれませんが、
クリニックの経営に関わる身としてはこのように言いたくなる気持ちもわからないではありません。
繰り返しになりますが、内定を承諾する前に辞退した場合は、このようなトラブルになることは稀です。
損害賠償を求める
ごくごく稀な例と思いたいですが、
内定を承諾した後、勤務直前で辞退したところ「損害賠償出訴える」と言われたケースがありましたので、仮に「看護師Aさんと」してご紹介しておきます。
婦人科のクリニックへ転職活動
看護師Aさんは都内の内科クリニックに在職していましたが、看護業務のスキルを上げるため産婦人科のクリニックへ転職活動をしていました。
あるクリニックへ応募したところ「できるだけ早く面接を」と言われたので、面接を受けたのですが、
条件面なども良く、院長先生とも今後の働き方まで十分話ができたので、Aさんとしては非常に印象が良かったそうです。
面接が終わったあと、当日夜に担当者から電話があり、「是非うちで働いて欲しい」と内定を頂いたので、週明けに入社の誓約書へ記入し、出勤予定日を決めました。
看護師の先輩から悪い噂
ところが、就職先を看護師仲間に話したところ、悪い噂を良く聞くクリニックだということがわかり、Aさんは不安になります。
Aさんは働く上で人間関係を大切にされている方でしたので、特に「看護師同士の仲が悪く、院長先生はスタッフを駒としてしか考えていない」という話に混乱します。面接の時の印象とは逆だったからです。
Aさんは働く上で人間関係が悪いクリニックはどうしても嫌だったので、内定を承諾したものの迷ってしまいます。
そして悩み迷った結果、内定を辞退することにしたのです。
クリニックへ連絡。そして・・・
結論がでたところでクリニックへ連絡を入れ、院長先生と直接お話をします。
「誓約書にサインを貰っている」
「なぜ今更そのようなことになるのか」
「もし辞退したら損害賠償で訴える」
内定を承諾したうえでの辞退であったこと、申し出たのが出勤予定日の5日前だったということもあり、院長先生は怒り心頭。
看護師Aさんはその後転職活動が恐くなってしまい、ご相談にいらっしゃいました。
損賠賠償だといわれたら
承諾後かつ出勤日5日前での内定辞退ということを考えますと、Aさんに配慮が足りなかったことは否めません。
特にクリニックの場合看護師不足の状態にあることが多いので、この院長先生が受けたショックが大きかったことは想像できます。
もう辞退を伝えてしまった後ですので何を言っても仕方ありませんが、
まずは勤めてみて噂どおりかを確かめてみてからでも良かったのではないかとも思いますが、損害賠償と言われると不安になってしまう気持ちは良くわかります。
損害賠償が求められるかですが、たとえ承諾していても、出勤予定日の直前だったとしても、看護師の内定辞退で損害賠償を求められることはまずありません。
多少の罪悪感は残ると思いますが、求められたとしても無効ですので無視してしまいましょう。
損賠賠償請求された場合、第三者の力を借りるとなると、弁護士か労働基準監督署へ相談となります。詳しい方法をお知りになりたい方はこちらからご連絡ください。(過剰な争いは避けるにこしたことはありませんが。)