年が明け、3月までは就職・転職活動が活発化する時期です。医療事務もこの時期に動く方が一番多く、3月にかけて求人の数も急増します。
現在医療事務として働いている方も、この時期は転職しやすい時期なのですが、特にクリニックにお勤めの方は、退職のタイミングにも気を使う必要があります。
Contents
退職の伝え方
退職自体伝えにくいことですので、伝え方を考えなければなりません。
従業員の希望は「今すぐに退職したい」かもしれませんが、今までお世話になったクリニックに後ろ足で砂をかけるわけにはいきません。
一定期間を引き継ぎにあてて退職するのが通例ですので、この期間もお互いが気持ちよく引き継ぎできるよう、伝え方にも一工夫必要です。
「ちょっとお時間いいですか?」
「院長先生!いまちょっとだけお時間いいですか?」
経験上、退職を決めているスタッフが、院長先生や事務長様に話しかけるときは、このような会話の始め方をします。
話しかけられる院長先生も、おそらく「またか」と思っているはずです。
私が考えるに、これは一番よくない伝え方です。
退職は、本人の中では決まっていても、管理者からすれば寝耳に水ということもありえます。心の準備ができていないところに、強引に退職の意思を伝え、「いつまで勤めればいいですか?」では、強引であるという印象は避けられません。
クリニックにとって、従業員の退職は、ご本人が考えている以上に担当者に負担をかけます。
代わりの方を募集しながら、退職の手続きをして、他のスタッフが退職者に続かないように意見交換をして…
特に人数が少ないクリニックでは、スタッフが同時に退職する自体は絶対に避けなければなりませんので、対策に追われることになります。
勤務時間中に言わない
では、いつ伝えたらいいのでしょうか。
最低限守っていただきたいのは、「ちょっとお時間いいですか?」を言うタイミングを勤務時間外にすることです。
「一刻も早く伝えなきゃ!」という思いが強いのはわかりますが、焦ってしまうと、言われる側の気持ちを考えることができなくなってしまいます。
いい大人なのですから、言われる側のことも考えて話を進めましょう。
退職理由には、本人やクリニックの努力では変えることのできないものもありますが、その理由を問わず、1日や2日伝えるのが遅くなったとしても、大きな問題は起こりません。
就職もコミュニケーションの上に成り立っていますので、「早く伝えなきゃ」という想いが、「早く伝えて(自分が)楽になりたい!」となってしまっているなら、伝えるタイミングは考えましょう。
退職の意思を伝えるタイミング
退職を決意し、伝えるタイミングは、最低1か月前です。
「辞めることが決まったら早く辞めたい」という考え方は十分理解できますが、たとえ法的には2週間であったとしても、1か月は余裕を持ち、引き継ぎを行うべきです。
辞める方の代わりに、新しい方を募集するのであれば、最低2か月は時間が欲しいところです。強制はできませんが、2か月の余裕をとることができるのであれば、クリニックのことをよく考えているとも言えます。
転職先を見つけてから伝えることは可能か
理想は、転職先を決めてから退職の意を伝えることですが、クリニックにお勤めの方の場合は、そこまで順調にはいきません。
よく言えば少数精鋭になりますが、多くのクリニックでは人的な余裕がないからです。
また、別の医療機関へ転職が決まっても、「今すぐ来てくれ」という医療機関は多いので、入社まで2か月猶予をもらえることは稀です。(通常1か月程度はいただけると思います)
現実的には、退職の意思を伝え、退職日が決まってから転職活動を始める手順になります。
新しい人が決まったら
「転職先が決まってから退職する」が従業員の理想ですが、逆にクリニックの理想は、「新しいスタッフが入職し、戦力になるよう育ててもらってから退職してもらう」です。
お互いにそこまで上手くいくことはほとんどありませんが、退職の意思を伝えたときに「新しい人が決まったら辞めていい」という回答をいただく可能性は十分にあります。
退職日は決めるべき
退職日が決まらないまま、いつ新人が入職するかもわからない。募集は出ているようだけど、訪ねても「いい人がいない」という回答ばかり。
こんな状況では、いつ辞められるのかわからず、モヤモヤした中で仕事をしなければならなくなります。
にもかかわらず、新しい従業員が決まったら、「いつまでいるの?」という態度をとられることも容易に想像できますので、必ず退職日は決める、もしくは決めていただくようにしましょう。
退職日が決まらない時の対策は下記の記事をご参照ください。
引き継ぎ計画書を作りましょう
退職時に作成するものとして、私のお勧めは、引き継ぎ計画書を作ることです。
退職の意思を伝え、退職日を決める代わりに、残された時間で、何を誰にどういう方法で引き継ぎするのかを明確にしておきます。
自分の担当している仕事の内容を、あらかじめマニュアル化しておき、計画書と一緒に提出しても良いでしょう。
引き継ぎの責任を果たそう
引き継ぎは時間があればできるというものではありません。
退職する際に「きちんと引き継ぎしていきます」という回答をするスタッフは多いのですが、
辞めることが決まっていることもあって、引き継ぎの責任を果たさないスタッフも多いので、
具体的な計画を示して、それを実行することが、お世話になったクリニックへの最低限の礼儀となり、差別化にもつながります。