保険証を忘れてしまいました。どうしたらいいですか?
クリニックでは患者様からよくあるご相談の1つです。
医療機関でのルールでは保険証は月1回確認することになっていますので、月ごとに初めて来院された日に保険証を提出する必要がありますが、
患者様が保険証をお忘れになってしまった場合はどのように対応したらよいのでしょうか。
Contents
いつ保険証を忘れたのか
本来、クリニックなど医療機関へ行かれる際は、保険証を持参いただきます。
「保険証をうっかり忘れてしまった」患者様は、どのクリニックにもいらっしゃいますが、重要なのは、「いつ保険証を忘れたのか」です。
緊急で検索してこの記事へたどり着いた方は、「今日だよ!」と言いたくなるかもしれませんが、保険証を忘れた日が、下記のどれに当てはまるかで、窓口での負担額が異ります。
前回保険証を提出した時と来院の日が同月である場合
前回保険証を提出した日が、来院された日と同月であれば、窓口で保険証を提出されなくても保険適用となります。
前回保険証を提示した日と来院の日の月が異なる場合
前回保険証を提示した月をまたいで診療を受ける場合は、自費で立て替える必要があります。
ルール上は提示されなければ自費扱いです。
※クリニック独自のルールで例外はあります。
仮に診察と追加で薬を処方された場合、1,920円を窓口で支払わなければなりません。
(平日の18時以降、土曜日・日曜日の12:00以降の診察には、夜間早朝加算が算定されますので、2,070円になります)
患者様からすれば「保険証は変わっていないのに・・・」というお気持ちがあることはお察ししますが、
健康保険証が切り替わっている可能性もあるため、どの医療機関もこのようなルールになっています。
薬代も立替
多くのクリニックは院外処方です。
上記のシュミレーションには薬代が含まれていませんので、処方箋を受け取り、処方箋薬局で薬を受け取る際も自費での支払が必要です。
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自費で立て替えて支払った場合は、月内に保険証を持参すればしかるべき割合で返金されますが、
処方箋は発効日を含めて4日有効ですし、処方箋取り扱いの薬局であればどの薬局でも処方薬を受け取れるので、
緊急でなければ後日保険証と一緒に提出すれば保険診療内で処方が受けられます。
返金を求める場合の手順
返金を求める場合は、保険証と全額立替えた際の領収書が必要です。
立替えた領収書は医療機関で回収され、代わりに保険適用された領収書と立替え分を受け取ることになります。
返金ができない場合もある?
保険証を忘れてしまい、全額自費で立替えた場合でも、医療機関から返金されない場合もあります。
それは診療費を立替えた月と保険証を提示した月が同月ではない場合です。
患者様によっては「何日以内に保険証を持参すればよいのか」とおっしゃる方もいらっしゃいますが、持参するのは月内と考えておくのが良いでしょう。
クリニックが返金してくれなかったら
保険証を忘れてしまった時に全額負担をするのは良いとしても、本来であれば自己負担にならない部分(3割負担の方であれば7割)が返金されないのでは困ってしまいますね。
私のクライアントでも、多少対応にばらつきはありますが、立替えた日から月をまたいでしまった場合は、クリニックでは返金されないと考えておいた方が良いと思います。
保険証をお持ちで、当日忘れただけの方は、同月でなくても領収書と保険証を後日持参すれば、しかるべき割合で返金を受けることができる場合もあります。
最後の手段は保険者へ連絡
月をまたいでしまい、クリニックで返金してもらえなかった場合は保険者に連絡しましょう。
請求を行えば、原則全額から自己負担額を差し引いた額が返金されますが、保険者によっては「保険証を忘れて診療を受けた場合は認めない」という回答を出す可能性もあります。
保険証を忘れてしまい全額を自費で立替える場合は、忘れずに月内に保険証の原本を提示して返金してもらうようにしましょう。
スマホで撮影した保険証の写真を使用できるか
現物を確認するのが原則ですので、スマホで撮影した写真で代用するのは無理があります。
いつも通院されているるクリニックであれば使用に了解をいただけるケースもありますが、公的なルールでは写真やコピーに効力はありません。
もし、写真やコピーが加工されたのものであったり、他人のものであっても、医療機関側でこれに気づくことができる要素は限られているからです。
修学旅行の持ち物に保険証のコピーの記載があったけど・・・
先ほども申し上げたとおり、原則は保険証のコピーや写真を使用して、保健保険診療を受けることはできませんが、修学旅行の場合など、特別なケースで一部認められることがあります。
保険証の現物を確認することなく保険診療を行った場合、医療機関側のリスクは診療報酬を請求できないことにありますが、
修学旅行であれば、怪我や病気をされたのは生徒さんや教職員などの学校関係者であることは、学校側が証明してくれますので、医療機関としてもリスクが少ないと判断できます。