最近経歴の詐称が騒がれていますが、医療事務に当てはめるとどのようになるかお話しておきます。
多くのクリニックでは経歴を詐称していた場合は懲戒解雇となりますので、経歴を詐称すること自体あってはなりませんが、過去の経歴により書類選考通過しない状態が続いている方が、この誘惑にかられてしまうこともあるかもしれません。
実は、経歴詐称の大小を問わなければ、私が医療業界に入った2005年から現在までに何件かお見かけしたことがあります。詐称のレベルが小さかった場合は懲戒解雇にならないケースもありましたが、総じて申し上げられるのは、「バレるかバレないかの以前の問題」です。
本日は医療機関の人事がどのようなところから経歴詐称を発見するかについてお話していきます。
Contents
経歴詐称の種類は様々
書類選考の際は、通常履歴書と職務経歴書を提出します。
氏名・住所・住所に加え、学歴・職歴・資格などを記載する欄がありますが、その多くは事実と異なる記載をした場合簡単に見破ることができます。
通常は経歴詐称などしなくても医療事務の仕事に就くことができます。
にも関わらず経歴詐称をしようとする方もいらっしゃいますので、項目ごとに見破り方を見ていきましょう。
学歴
卒業証明書の提出を義務付ければ簡単に明らかになります。
クリニックで卒業証明書の提出を求められることはあまり無いかもしれませんが、そもそも学歴が重視される職業ではないので、経歴を詐称することにほとんど意味がありません。
学歴は面接の雰囲気でもある程度感じられることがあり、年齢が若い方ですと特に学生時代のことを聞かれる機会も多いので、辻褄が合わなくなりますので、この部分を詐称している方はそもそも面接を通ること自体が稀でしょう。
資格
持っていない資格を記載する方はまずいらっしゃらないと思いますが、資格証明書の原本やコピーを求めれば簡単に明らかになります。
学歴の項での「卒業証明書」とは異なり、医療関係の資格証明書は提出を求められることがほとんどです。
もし医療事務の勉強をしていて、もうすぐ資格が取れるという状況であれば、「○年○月に資格取得予定」と記載しましょう。
職務経歴
実は過去の職務経歴を詐称していた場合は、見破るのに少々労力が必要です。
前職の経歴、それ以前の経歴にに分けてお話していきます。
前職の経歴詐称
前職の源泉徴収票の提出をしてもらえばわかります。
多くの場合はクリニック側から前職の源泉徴収票を提出していただくので、履歴書や職務経歴書に記載した、前職の項目に虚偽があるとすぐに明らかになります。
辻褄が合わない場合は、前職の就業先に連絡を入れて詳細を確認することもありますので、見破るのは比較的容易です。
前職以前の経歴
詐称を見破るのには少々労力が必要な項目です。
実際にあった詐称方法を例に出してご説明しますが、入社時期や会社名など個人情報になる部分は伏せて掲載しており、内容もわかりやすいように簡略化しています。
本来の経歴
2012年4月~2013年5月 Aクリニック
2013年6月~2014年5月 B社(一般事務)
2014年6月~2016年3月 C社(営業事務)
現在に至る
改ざん後の経歴
2012年4月~2014年5月 Aクリニック
2014年6月~2016年3月 C社 (営業事務)
結論から申し上げると、このスタッフは虚偽の記載が明らかになった時点で懲戒解雇になりました。(所属していたクリニックの就業規則にその旨記載があったため)
詐称が明らかになったのは勤め始めてから1年が経過した頃でした。
職務経歴にあるAクリニックの院長先生と、現在勤めているクリニックの院長先生が、同じ学会に出席しており、以前勤めていたスタッフを現在雇用しているという話を院長先生同士でされたところ、詐称ではないかという疑惑が生まれ、明らかになりました。
医療関係の職業は横の関係でつながっていることも多いので、面接は突破できても、キャリアを築いているときに思わぬところから詐称が明らかになり、懲戒解雇となってしまうことがあります。
職歴詐称の見破り方
上記以外にも職歴の詐称を見破る方法があります。
社会保険で見破る
「経歴は社会保険でばれる」という話をきいたことがある方もいらっしゃるかもしれませんが、現在は個人情報保護の関係で、クリニックが独自で調べるのは難しくなっています。
ただし、年金手帳を紛失している場合は、基礎年金番号の再交付を行う目的で、過去の社会保険に加入した会社名や住所が必要になるので、ここで確認することができます。
ちなみに手続きは雇用主(クリニック)が行うことになっています。
雇用保険で見破る
こちらも個人情報ですので、クリニックが独自で調べることはできません。
雇用保険被保険者番号のがわかるもの(雇用保険被保険者証)をお持ちでない場合は、雇用保険取得手続きの際に、直近2年の職歴を記入する必要があります。
条件付ではありますが、雇用保険からも経歴詐称を見破ることができます。