クリニックの医療事務の仕事には電話対応が含まれます。
予約制のクリニックではなかったとしても、「自分の症状をみてもらえるのか」とか、「こういう場合はどうしたらよいか」など、電話でいただくご質問にも対応していかなければなりません。
電話でいただくご質問もかなりのパターンが考えられます。
症状への対処に関する緊急要件はドクターが対応しなければなりませんが、来院を促すだけであれば医療事務でも可能であり、はじめのうちは特に対応に戸惑うことも多いのではないでしょうか。
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電話対応は初心者の仕事ではない
結論から申し上げると、電話対応は医療事務未経験者や経験が少ない方には荷が重い仕事です。
診療時間やクリニックまでの道のりを案内する位であれば、勤務歴の浅い方や医療事務未経験の方でも対応可能ですが、
患者様から症状を伺い、それをドクターへ振るのか、今日中の来院へ案内するのか、来院は明日以降でも良いのか、そもそも自院では対応できない疾患なのかというようなことを判断できるようになる為にはそれ相応の時間がかかります。
医療事務の現場を見ていると勤務歴1ヶ月未満のスタッフに積極的に電話にでるように指示しているクリニックがありますが、院内での混乱を招いてしまったり、クレームの温床になる可能性が高いので、あまり良い方法とは言えません。
予約制のクリニックなら
特に予約制のクリニックでは注意が必要です。
予約制のクリニックの場合は、どこでも予約を受けられるわけではないので、患者様の予定を優先しながらも、当日の予約枠の中で空いている時間帯を案内しながら予約をとるテクニックが必要です。
細かく見ていくと患者様のタイプによって対応方法を変えるべきですが、クリニックの規模でそこまでマニュアルに落とし込むにはかなりの労力がかかりますので、
たとえ予約制のクリニックであっても、電話対応を細かくマニュアル化されているクリニックは少なく、また、予約をミスすることで医療現場との軋轢を生むこともあり、細かいニュアンスまで感じ取れるようになるまでには時間がかかります。
電話で相談に乗る
初めての患者様からよくいただく質問で、
「自分の症状が診療対象か」というご質問がありますが、このような質問に答えているうちに電話相談のようになってしまうケースがあります。
患者様の多くは症状を伝えることが苦手で、時系列にお話しされます。
「この間の水曜日・・・いや木曜日だったかな?腕がかゆくなってきちゃって家にある薬を塗ったんですよ。よくなったと思ったんだけどまたかゆくなっちゃって、それから最近ガサガサしてきちゃって・・・そうだ!思い出したんだけど最近頭もかゆくてフケが出始めてね・・・」
文章にすると「私はこんな話し方はしない」と思われるかもしれませんが、考えをまとめる前に電話されるタイプの患者様はこのような話し方になりがちです。
もちろん最初から最後までお話を聞いてしまっていては、多くの時間をとられてしまい仕事になりません。
話を聞かないとクレームになる!?
確かにその側面はあります。
ですが、本来医療事務の仕事は、症状の詳細を聞き込むことではなく、症状の確認とし対象疾患かどうかを判断したり、来院を促すことが仕事ですので、
上記の例であれば、皮膚科の対象疾患で緊急性はないと判断できた時点で、「診察にいらっしゃった時に医師や看護師がお伺いします。」とすれば、話し込む必要は無いでしょう。
※上記の台詞をそのまま伝えてしまってはクレームになる可能性が高いので、やんわり伝える技術は必要です。
失敗するから成長する!?
「電話対応に失敗して反省を繰り返すことで仕事ができるようになる」と主張される方もいらっしゃいます。
確かにその側面はありますが、私は次の2点の理由から、電話対応での失敗をむやみにさせないほうが良いと考えます。
電話対応には失敗はあっても成功は少ない
前述の通り患者様の求めている情報をいち早く提供すれば評判が良くなり、院内での仕事ぶりが評価されます。
一方で電話口のみの対応となるため、正しいことを話していても、話し方でクレームになってしまったり、そもそも声だけのコミュニケーションは難易度が高いと言えます。
予約制のクリニックの場合は、これに予約をとってしまったことでクリニックの医療現場との軋轢の元となってしまう場合があります。
失敗が積み重なると離職率が上がる
医療事務は多くの患者様の対応を行い、その仕事の範囲も広いので、患者様からもおそらくドクターや看護師からも叱責される機会はあると思います。
これに電話での失敗によるクレーム対応が増えることでストレスが多くなってしまい、結果退職するスタッフが増えてしまいます。
「離職率が高い」という問題の原因はそれぞれで、「新人に電話をとらせているから離職率が高い」という単純な図式にはなりませんが、新人に電話対応をさせているクリニックの責任者の方は、1つの要因として考えてみてはいかがでしょうか。