できる医療事務は知っている「御中」「弊院」「貴院」「当院」の使い方

御机下と御侍史を多用するのは医療業界特有であることは『医療業界では必須!「御机下」と「御侍史」の読み方と使い方』の中でお話しましたが、その他にも医療事務として働くのであれば覚えておいて損は無い言葉の使い方をご紹介します。

一般的なビジネスマナーも含まれていますので、比較的常識の範囲内かとは思われますが、正しく覚えておけば後々役に立つ知識ですので、覚えておきましょう。

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御中

御中は団体にあてた手紙の際に使用する敬語です。

「御中」の使い方
以下のように使用します。
「医療法人社団○○会 △△病院 御中」

「御中」を使用する場合、医療機関(病院・クリニックなど)宛の手紙で、病院の誰が開封しても問題ないことを意味します。

個人名がある場合は「御中」は付けてはいけません。

御机下・御侍史との併用はできない!

よくある間違い例
○○クリニック御中 
院長××先生 御机下

先によくある間違いの例を出させていただきましたが、「御中」を使用するのであれば、「院長××先生 御机下」の部分は必要ありません。

使用方法をご存じの方からすると意外かもしれませんが、「付ければ丁寧になる」と勘違いしている方は珍しくありません。これは間違いですので注意してください。(もちろん医療業界でなくても間違いです。)

正しい使用方法
医療法人社団〇〇会 ○○クリニック 
院長××先生 御机下

この程度の間違いで医療機関同士の揉めごとに発展することはないと思いますが、クリニックの教育レベルを疑われる場合がありますので、きちんと覚えておきましょう。

御中の意味

何故併用できないかを疑問に思う方は言葉の成り立ちを理解しましょう。

御中の意味

「御中」の「中」は「中の人へ」という意味をを表しています。

つまり、「○○クリニック 御中」は「○○クリニックの中にいる皆様へ」ということになります。

御中を付けると「クリニックの誰が見ても問題ありませんよ」という意味になります。

「個人」に宛てた手紙に御中は、誰が見ても良いわけではないので、御中は使用できないことになります。

「御社」「貴社」「弊社」クリニックではなんと言う?

会社では相手の会社のことを「御社」(「貴社」と記載することもあります。)自分の会社のことを「弊社」と呼びます。

弊院と当院

クリニックや病院などの医療機関の場合は、弊社ではなく「当院」を使用します。

「弊院」という言葉もあり、主に書類へ記載する際に使用しますが、「当院」となっている書類も多数ありますのでこの違いは気にする必要はないかもしれません。

しかし、ドクターとのやり取りの中で、へりくだった表現として「弊院」を使用している場合もありますので、働かれているクリニックでの使用方法に合わせると良いでしょう。

貴院・御院

「御社」は相手の会社を指す言葉ですが、相手が医療機関の場合は「貴院」「御院」と記載します。

相手がクリニックの場合は、「御クリニック」「貴クリニック」という表現も見かけますが、クリニックも「院」ですので、書面に記載する際は「貴院」や「御院」を使用しておけば良いでしょう。

また、会話では「〇〇クリニック様」という表現方法をされている方もいらっしゃいます。

「貴院」と比べると若干砕けた印象ですので、相手との関係性によって使い分けると良いのではないでしょうか。

相手が医療機関である時のみに使用できる言葉ですので、取引先などの株式会社へメールや文書を書く際は「御社」「貴社」と記載しましょう。

患者”様”か患者”さん”か

私の知る限りでは「患者様」「患者さん」の表現方法はどちらかで統一されています。

統一されていれば「『様』なのか『さん』なのか」という点は気にする必要はありません。

「様」「さん」を付ける理由

「患者様」「患者さん」という表現を使用する理由は、当たり前の話ですが、患者様への尊敬を失わないためです。

もし「あの患者がさー」のような話し方をしているスタッフを見かけたら、患者さんがに聞こえているかいないかに関わらず、私は必ず注意します。(※しかも少々きつめに。)

言葉遣いは必ず仕事の態度に出てしまうからです。

必要以上にへりくだる必要はありませんが、ドクターだけではなく患者様にも尊敬の念を持って接していただきたいものです。

「様」を付けるのはやりすぎ?

「患者様」と”様”をつけるのはやりすぎであるという意見もありますが、ドクターとその他の職種では患者様の扱い方も分けるべきですので、ドクター以外のスタッフが「患者様」で統一することに、私は問題を感じません。

実際現場を見てみると、「患者様」で統一されている医療機関は多いですし、患者様から見ても悪い気はしないはずです。 ただし、「様」と「さん」のどちらを使用するかはスタッフ全員で合わせるようにしましょう。

先輩医療事務が「患者さん」とされているのであれば、それに合わせるのが最善策です。

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