御机下と御侍史の読み方と意味と使い方の違いは医療事務なら必須の知識

「御机下(ごきか)」「御侍史(おんじし)」という言葉をご存知でしょうか?

医療業界では必須の知識ですが、医療事務でも読み方、意味、使い方等を勘違いしている方もいます。医師へのマナー違反を避ける為にも意味や使用方法を理解しましょう。

使用されているのは主に医療業界(医療業界だけなのかもしれませんが)で、紹介状を含む医師へ手紙を書く場合は必須のマナーです。

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御机下の読み方と意味

「御机下」は「ごきか」または「おんきか」と読みます。

「おつくえした」「おんつくえした」はともに間違いです。
ともに恥ずかしい間違いですので注意しましょう。

御机下は個人に尊敬の念をこめてお呼びするときにつける言葉です。

「○○先生 御机下」のように使用し、個人が特定できている場合に使用します。

直訳すると「直接お渡しするのも恐れ多いものですので、机の下に置かせていただきます」とよくわからない表現になってしまいますが、

要するに「机の上に置くほど重要な書状ではございません」という意味です。

「机の下に置く」という表現に違和感がありますが、それだけへりくだった表現で、「読みたい時にお読みいただければ十分でございます」と言っているのでしょう。

「御枕下」は間違い

(2018.4.26 追記)先日ある医師とお話ししていたら、「田中(仮名)先生 御枕下」というあて名の紹介状が来たというお話がありました。

見た目は似ているかもしれませんが、間違えると所属のクリニックの院長先生が恥ずかしい思いをするので、同じ間違いをされている方は正しく理解してください。

正しくは、「枕(まくら)」ではなく「机(つくえ)」です。

御机下を使用しても普通の手紙として扱われる

「御机下」を使用することで、手紙の優先順位が低くなることはありません。

また、文字通りに扱われてしまっては、医師の机の下は常にお手紙だらけですが、そのような扱いをされることはありません。

医師は医療業界で最高峰の資格ですので、それだけ偉いというか、尊敬されていることを垣間見れる表現でもあります。

(2016.9.13 追記)紹介状を作成する際どこで改行したら良いのか?」という質問を頂戴しました。下記のように記載しましょう。

医療法人社団〇〇会 〇〇病院
〇〇科 〇〇先生 御机下

医療法人社団〇〇会 〇〇クリニック
院長 〇〇先生 御机下

紹介状の宛先によっては医師の名前がわからないこともよくあります。その場合は御侍史を使用した方が無難です。

その他にも医療業界特有の言葉遣いがあります。

「ご高診の程お願いします」医療業界特有の表現と丁寧な理由
御侍史や御机下以外にも「ご高診」など、医療業界では医師に対して非常に丁寧な表現を使用します。 これは、医師以外の方から宛てられた書面だ...

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御侍史の読み方と意味

「御侍史」は「おんじし」と読みます。「ごじし」でも良いようですが、「おんじし」が一般的です。

「おさむらいし」ではありませんのでご注意ください。

個人宛でも個人がわからない場合(「担当医 先生 御侍史」など)でも使用できます。

御侍史の「侍史」は秘書のような仕事をされる方のことで、昔の位の高い方の多くにいらっしゃったようです。

「〇〇先生 御侍史」とすることで「直接お渡しするのは畏れ多いので侍史の方を通してお渡しします」という意味になります。

もう少しかみ砕いて言うと「私の手紙などご本人が直接読まなくても、侍史の方から『YASUさんから手紙がきました』程度に伝われば十分でございます」というようなニュアンスです。

医師には日々大量の手紙や書類が届きますので、「手紙が来ました」の一声では読んでもらえそうにありませんが、

御机下と同じく、御侍史を使用しても直接ご本人に届くので余計な心配はいりません。

御待史・御史侍は間違い

御机下と同じく御侍史も間違って記載されることが多く、「御待史」(これでは「おんたいし」です・・・)と書かれているものもあります。

正しくは「待」ではなく「侍」です。

その他、「御史侍」(おんしじ・侍と史の位置が入れ替わっています。)という書き間違いも見たことがあります。

読み方や漢字を間違えただけで大きなトラブルになることはありませんが、医療事務としては恥ずかしい間違いの1つです。正しい知識を身につけましょう。

業者からの手紙は御侍史が使用されている場合が多い

業者が医師宛てにビジネス文書やメールを書く際は「御侍史」が使用されるケースが多く、「御机下」を使用されているケースはあまり見かけません。

医療業界では使い方が詳細に分けられている訳ではありませんので、紹介状などに記載する際はどちらを使用しても問題はないのですが、

業者からの手紙の多くに御侍史が使用されているのは、外部からの書類は、侍史の方が一括管理していたからではないかと考えています。

※下線部は私の予想です。

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御机下と御侍史の違い

御机下と御侍史の違いが気になるところですが、医療業界では明確な使い分けのルールはありません。

「どちらを使用するか」について指摘する医師はかなり稀ですので、医療業界における違いはないと考えても良いのですが、あえて違いを申し上げると2つあります。

①侍史を通しての連絡か、直接机の下に届くのか

②御侍史は個人宛でも「担当医 先生 御侍史」のように相手がわからなくても使用できるが、御机下は個人宛のみに使用できる。

また、総合病院の幹部クラスの医師など、秘書がいらっしゃることがわかっていれば「御侍史」を使い、それ以外医師へは「御机下」を使用するといった気の使い方はできます。

YASU流!御机下と御侍史の使い分け

(2016.9.13 追記)ではYASUさんは御机下と御侍史をどう使い分けているんですか?という質問をいただきましたのでお答えしておくと、

私はほとんどの場合で「机下」を使用することにしています。

前述のように、多くの業者は「御侍史」を使用していますが、この点を指摘されたことはありません。

侍史より机下を使用する理由

御侍史・御机下はともに医師へ宛てた書面で使用しますが、侍史を雇っている医師は一握りです。そのため本来の意味を考えて「机下」を使用することにしています。

「侍史」がいらっしゃる医師は一握りだと思いますし、仕事上、書面での連絡は、特定の医師へ宛てたもののみですので、本来の意味からしても妥当だと考えています。

秘書がいらっしゃることを知っている場合は、本来の意味を考えて「御侍史」とすることがあります。

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御机下と御侍史の共通部分

どちらにも言えるのが、古い表現であり、自分より格上の方宛に強い謙遜を表していることです。

また、どちらもほぼ医療業界でしか見かけない表現ですが、医師専用でも、医療業界のみの言葉でもありません。

少しだけ医療事務経験がある方の中には、「様」より丁寧な表現だと考えている方もいらっしゃいますが、

一般的な表現とは言えませんので、誰にでも「御机下」や「御侍史」を付ければ良いというものではありません。

医療事務の方は、医師宛の手紙のみに使用するようにしましょう。

御中との併用は不可

御机下、御侍史、どちらにも言えることですが、団体の敬称といわれる「御中」とは併用できません。

医療法人○○会 △△病院(クリニック)御中
院長 田中 太郎 先生 御机下

この表記は間違いですので注意してください。

御中に関してはこちらに詳しく記載しています。

できる医療事務は知っている「御中」「弊院」「貴院」「当院」の使い方
御机下と御侍史を多用するのは医療業界特有であることは『医療業界では必須!「御机下」と「御侍史」の読み方と使い方』の中でお話しましたが、その他...

「御」をつけるのは間違いではないか?

『様」と『御』が共存することで二重敬語になってしまうため、本来は『机下』とするべきである

そもそも「御」が机や侍史を高位にしてしまっている

というご指摘もあります。(日本語難しいですね・・・)

医療業界では慣習的に「御侍史」「御机下」の形で用いられていますので、医療業界で使用する場合は「御」を付けるのが無難です。

医療事務の仕事では、言語としての正しさより、医療業界としての正しさを優先するべきですが、医療業界以外で使用する際は、上記のような理由で間違った使い方だと知っていて損はありません。

医師宛の手紙は必ず御机下か御侍史が必要か?

医師の間で手紙やメールのやり取りをする際は、「御机下」や「御侍史」は高い頻度で使用されています。

医師同士の場合は、省略されるケースもあるようですが、診療情報提供書(紹介状)など、医療機関同士でやり取りする文章に関しては、どの医療機関でも必ず使用します。

若手医師の間では「必要ない」との意見も

(2017.7.20 追記)御机下や御侍史を使用するのは医療業界の文化ですので、紹介状などの医療機関同士の場合は原則使用しなければなりません。

一方でこの文化を奨励している30代以下の医師は少数ですので、比較的若い医師へ手紙やメールを書く場合はその旨も知っておくと良いでしょう。

私の周りの若手の医師は、「脇付は必要ない」とおっしゃる方が多いのですが、

私のルールでは、お会いしたことがない医師宛の手紙やメールは、相手の年齢に関わらず「御机下」を使用することにしています。

お会いしたことがある医師宛の場合は、コミュニケーションの状況次第で、使用を省くこともあります。

年賀状など他の手紙の場合

「田中(仮名)先生 御机下(御侍史)」という記載は私信でも使用できます。

勤めている病院以外の先生宛であれば使用しても良いと思いますが、

現在お勤めのクリニックの院長先生のように、同じ現場で働いている先生であれば、そこまでかしこまる必要はないのではないかと考えます。

この場合「田中(仮名)先生」でも十分尊敬の念は伝わります。

「御机下」「御侍史」としてしまうことで事務的な印象を与えてしまう懸念もありますので、使いどころは間違わないようにしてください。

「使えばより丁寧になる」は間違い

「強い謙遜を表している」というお話は先述の通りですが、誰にでも使用すれば良いというものではありません。

医師同士でも使用していますので、医療事務が医師へ宛てる書面で使用するのは問題ありませんが、

事務長様や婦長様など、他の役職の方へは使用しないように注意してください。

奥様と連名で送るときは

奥様と連名で年賀状を送るなら敬称はそろえた方が良いでしょう。

奥様が医師でなくても「先生」と敬称を付けるご職業であれば「先生」で統一し、そうでなければ「様」で統一するのが良いと思います。

クリニック専門医療コンサルタント。
都内クリニックの事務長を11年経験し独立。
現在は関東圏のクリニックへ人材教育と採用活動を通したコンサルティングを行っている。医療事務・看護師の面接回数は合計800回を超える。

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