先月からクライアントのクリニック様で新人教育の現場を見ているのですが、新人スタッフが3名同時期に入社していることもあり、たくさん気になる対応がでてきます。
新人スタッフは3名とも20代であるため、同年代には違和感がない可能性もあるのですが、癖になっている話し方についてお話したいと思います。
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「大丈夫です」症候群
患者様に対してもスタッフにも、なにかにつけて「大丈夫ですよ」という対応が目立ちます。
ニュアンスは伝わるので、反感を買わなければ便利な言葉ではありますが、「大丈夫ですよ」が敬語だと思って使用しているのであれば話は変わってきます。
「大丈夫」の本来の意味
本来「大丈夫」は「安心・安全」や「確信していること」を意味します。
患者様に対して「ご体調は大丈夫ですか?」と尋ねるのは正しい使い方ですが、「必要」「可能」の意味で使用するとおかしなことになります。
間違った「大丈夫」の例
「カード会計でも大丈夫です」
「新しく診察券をお作りしても大丈夫ですか?」
どちらもわりとよく聞くのですが、どちらも間違った使用方法です。
患者様の年代やバックボーンによっては、「面白い使い方」を通りこして不快に感じる方もいらっしゃいますので、「大丈夫」で濁さず、しっかり言い切るように心がけましょう。
「状態」症候群
電話口で「いま院長先生は電話に出れない”状態”です。」この言い回し聞いたことはありませんか?
私はこの言い回しを聞くと「どんな状態なんだろう・・・」と思います。(もう慣れましたが)
「ただいま診療中ですので、私でよろしければ簡単にご用件をお伺いできますか?」程度の対応はしていただきたいものです。
なります症候群
状態症候群と一緒で、なんでも「なります」と付けてしまう口癖です。
「~になります」は、「になる」の丁寧な言い方ですので、そのような日本語がないわけではありませんが、通常は「変化や移行した結果」に対して使用されます。
したがって、「当院は開業してから5年になります」「院長先生は今年で50歳になります」といった表現は、使い方として正しいのですが、
「こちらが当院オリジナルのスキンケアになります」「こちらが領収書になります」という表現は間違っています。
上記であれば、「当院オリジナルのスキンケアでございます」「領収書でございます」が正しい日本語の使い方です。
状態症候群・なります症候群の直し方
単純に語彙が少ないことが原因である場合が多いので、上記の電話の例のように、正しい言いまわしを覚えればすぐ直る癖です。
「状態」「なります」という言葉を使ってしまったら、次から同じ場面ではどんな言い方にすればよいだろうと考えるようにすれば、癖になっていてもすぐ直ります。
本人が気づかない場合は外から指摘してあげるしかありませんが、根気強く指摘していけば改善への難易度は決して高くありません。
「えー」「あのー」症候群
接客業では特に気を付けたいのが、話すことを考えていることを言葉にしないようにすることです。
クリニックにご来院された始めと、お帰りになる会計時は患者様とのやり取りがありますので、医療事務が接客業であると申し上げることには違和感はないと思いますが、
何を話すのでも「あのー」「このー」「えー」を付けて話す癖がある方は、早く自分の癖に気づいて直していただきたいと思います。
何度も対応している患者様と仲良くなり、フランクな接し方の方がしっくりくることもあるのかもしれませんが、意識すれば正しい対応ができる位にはしておきたいところです。
「えー」「あのー」症候群の直し方
問題点を指摘するだけでは申し訳ないので、ご自身でこの癖に気づいた方の直し方もご紹介しておきます。
特に新人スタッフが「えー」「あのー」と言いながら話をつないでしまうのは「言葉を探している」ことが原因です。
経験が浅いスタッフの中には「上手く伝えなきゃ」という意識が先行してしまい、緊張状態にあります。
伝えるべきことを整理しながら、リラックスして伝えられるよう練習しましょう。
伝えるだけなら、ベテラン医療事務員のように難しい言葉や気の利いた言葉を使う必要もありませんし、方言やイントネーションを直す必要もありません。