「ご高診」「平素より大変お世話に」医療業界特有の表現と丁寧な理由

御侍史や御机下の表現からもわかる通り医療業界では医師に対して非常に丁寧な表現を使用します。

例えば紹介状のあいさつ文で使用される「平素より大変お世話になっております」や、最後に記載される「ご高診の程何卒よろしくお願い申し上げます」という結びの言葉は定番化しています。

医療事務の仕事上その表現を垣間見ることができるのは紹介状に関することがほとんどですが、使用されている表現の意味や、医師どうしても丁寧な表現を多用する理由などは覚えておいて損はないと思います。

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平素より大変お世話になっております

紹介状をはじめとする医師同士での書面のやりとりや、メールで使用される表現です。

ビジネスメールですと「お世話になっております」「いつも大変お世話になっております」などの挨拶が定番ですが、医師同士でメールや書面のやり取りをする場合は「平素より大変お世話になっております」という挨拶を使用するのがメジャーです。

クライアントの先生へ伺ってみたのですが、「そこにオリジナリティーを出そうと考えたことはないが、かえって悪い印象を与えてしいそうだ」とのことでした。
医師同士であっても、相手が親しい医師の場合は「いつもお世話になっております」となる場合もあります。

丁寧でも時候の挨拶は使用しない

ビジネスで文書では時候の挨拶があります。

この記事を執筆している6月ですと「梅雨寒の折、時下いよいよご清祥のこととお喜び申し上げます。」などと時候の挨拶と安否を伺いますが、紹介状をはじめとする医療関係の書面で使用されることはまずありません。

「平素より大変お世話になっております」のみの記載にとどめるのは、その書面に目を通す医師へ礼儀を示し、単刀直入に用件に入るためです。

面識がなくても「平素より大変お世話になっております!?」

ちなみにこの「平素より大変お世話になっております」という挨拶文は、紹介先の医師へ初めて紹介状を出す場合でも使用さるそうです。

当事者以外から見ると、相手が医師だとしても、面識がない相手に「平素から大変お世話になっております」と挨拶することには違和感がありますが、慣例的に使用されている側面が強く、決まり文句となっています。

ただし例外もある

近年若手のドクターから伺うお話では、紹介状を書く相手の先生によって書き方が変わることがあるそうです。

例えば、他県の面識のないドクターへ紹介状を書く際は「この度は大変お世話になります」と書いたり、海外で働くドクターには「まだ何も世話してないけど?」と言われそうなので使わないといったケースも確認できました。

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ご高診の程何卒よろしくお願い申し上げます

紹介状では「平素から大変お世話になっております」で始まり、結びの言葉として「ご高診の程何卒よろしくお願い申し上げます」が使われます。

医療業界では診療科に限らず定着している表現で、多院への紹介時には「ご多忙の折大変恐縮ではありますが、御高診の程何卒よろしくお願い申し上げます」と結び、書面を仕上げることが多いのです。(細かい部分は医師により異なります。)

強い尊敬の念をもった表現ですので「ご専門である先生の方が、より先進的で効果的な治療を行うことができると考えておりますのでお願いいたします。」というような意味とご理解ください。

患者様の希望により

余談ではありますが、あるドクターとお話ししていた際に「ご高診の程お願い申し上げます」という表現に違和感がある(あくまでそのドクターが違和感を感じる)というお話を伺ったことがります。

前述の「平素より」「ご高診」などとと同じく、「患者様の希望により・・・」も比較的メジャーな定型文のようですが、「患者様の希望によりご高診賜りたく…」という表現には違和感を感じるというお話でした。

確かに、第一の紹介理由が「患者様本人の希望」では「担当医の意見より患者様の意見を尊重して紹介します」となってしまい、意味だけで考えると誠実な表現とは言えないかもしれません。

このドクターがおっしゃる通り、よくよく考えると違和感を感じる表現なのですが、「患者様のご希望により」も定型文化しています。

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丁寧な表現を使用する理由

医療業界では必須!御机下と御侍史の読み方と使い方』でご紹介している「御侍史」や「御机下」にも同じことが言えますが、紹介状をはじめとする他の医療機関に宛てた書面では、非常に丁寧な表現が使用されます。

「お医者様は偉いから…」という理由を挙げる方もいらっしゃいますが、私の意見は異なります。

私は、丁寧な表現が使用されている理由には、「書面を受け取る側に立って考える文化」の存在があると考えています。

医療機関から別の医療機関への「紹介」とは、自院の患者様の引き継ぎをお願いすることですから、多少定型文化していることは否めないものの、紹介する医師が「患者様にとってベストな選択を」という魂の叫びを、文章で表しているのかもしれません。

下線部は私の予想です。

現代では様々な通信手段がありますが、書面でのやり取りが普通だった時代に、書面を通して医者同士がお互いに尊敬しあえる関係を築き、絆を深めていたとしたら、非常に丁寧な言葉の使い方も美しいものに見えてきます。

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