これから先医療事務の仕事を続けても、医療事務がなくなることって考えられませんか?
とある医療事務の方から頂いたご質問です。
医療業界でもIT化が進み、マイナンバー制度との紐付けで病歴もわかるようになるなど、大きな変革が起こりそうな気配から、将来に漠然とした不安がありこのようなご質問を頂いたのだと推測しますが、「そこまでの変革がおこることは考えにくい」というのが私の結論です。
変革がある時は自分を成長させるチャンスでもあるのですが、今後クリニックで働く医療事務はどうなっていくのか、取り残されないためにはどのようなスキルを身につけていくのかお話していきたいと思います。
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IT化で仕事を奪われる?
IT化によって不必要になった仕事があるように医療事務もいずれそうなる
たまにこういうことをおっしゃる方がいらっしゃいますが、他業界と比べても保守的である医療業界で近い将来そうなってしまう可能性は限りなくゼロに近い。この論理自体がかなり極論だと思います。
確かに2016年1月現在で例外を除き大部分のクリニックのレセプトは電子申告になるなど、IT化は進んでいます。細かく設定を作れば、自動でレセプト集計をかけるだけで作業の半分程度は機械任せにすることも可能です。
しかし忘れてはいけないのは、これを設定するのは人間であり、設定するPCスキルがあることと設定を考えられることは別なのです。
パソコンスキルは必須なのか
クリニックでもここ20年で電子カルテが普及し、ほとんどのクリニックで電子カルテが導入されていますので、いかに過去の経験が重視されるとはいえ、PCを見ているだけで頭が痛くなるような方はさすがに問題外ですが、
診療に滞りがない程度に電子カルテを使えるレベルであれば、それ以上のスキルはなくても問題ないと思います。※もちろんあった方が良いのですが・・・
以前は私もPCスキルについてあればある程良いと思っていた時期がありましたが、現在では「あるに越したことはないが、一定以上あればそれ以上は必要ないもの」という認識です。
PCスキルより大切なもの
IT化されるとPCスキルは必須!!と言われることは多いかもしれませんが、それより大切なことはイメージする力です。
機械に仕事をとられるというのは仕事が単純作業である場合のみですので、人間にしかできないスキルを磨くことを優先してください。先日お話したプレゼンをする力(プレゼン力)もそれに該当します。
電子カルテやPCは扱えれば便利(手書きより早くて保存も確実など。)です。しかしこれは「道具」として便利なのであって、これを使ってどう運営を効率化していくかというのは人間にしか考えることのできないことです。
考えることは人間にしかできない
私のクライアントのスタッフにで、電子カルテの操作やタイピング程度は問題なくこなせるものの、ワードやエクセルをはじめとするOffice系のソフトの操作は良くわからないというスタッフがいます。
このスタッフはPCスキルが高いとはいえませんが、このクリニックでドクターや看護師から1番頼りにされているのが彼女であり、医療事務としての活躍ぶりには目を見張るものがあります。
例えば先日こんな提案を受けました。
「受付に立っていると最近患者層が変わったように感じます。 ここ3ヶ月でいらっしゃっている患者さんの住所の分布と、看板などの広告がある場所が地図に載った資料があればわかりやすいのですが・・・・」
これを院長先生に提案するのは本来私の仕事なのですが(笑)先述したとおり彼女にはデータを集計し抽出する技術がないので、院長先生に許可をいただき、資料をまとめ、プレゼンまで手伝っていただきました。
この程度の資料であればPCスキルがある方は簡単に作れます。しかし、「PCスキルがある=考えることができる」ではありません。ここが重要なのです。