ドクターにお話を伺っていると、よく「今まで経験したことがないことを始めるときはなかなかスタートダッシュがかけられない」というお悩み伺います。
経験したことがなく、経験した人が傍におらず、手探りで何かを始めたり作ったりしなくてはならない・・・
「いかにレールを逸脱しないか」を求められる医療業界では、このような状況を得意としない方が多いようです。
命にかかわったり、重篤な副作用がでてしまうリスクがある場合は慎重に事を進める必要がありますので当然と言えば当然ですが、
その分ドクターをサポートする医療事務や看護師は、仕事を行う上でこの「大枠を作るという考え方」を身につけることで一目置かれる存在になれるでしょう。
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大枠を作るスキルとは
「大枠を作るスキル」とは、何かを行う際に結果を予想して行動することです。
多くの場合、起こる結果は予想していたものと異なるので、最終的なゴールを見失わないように手段を臨機応変に変えて結果を出すスキルです。
簡単な手順はありますが、未経験でノウハウがない仕事に飛び込むことになりますので、ある程度の度胸が必要ですが、これを身に着ければ未経験のことを恐れる必要はありません。
決まりきった仕事の方が良い!?
医療事務を目指されている方には、「決まった安定した仕事をこなしている方が安心できる」と思われる方も多いと思います。
しかし、レールに乗っているだけではなく、新しいレールを作り機能させることができれば仕事の幅が一気に広がり、その後のキャリアにも大きく影響します。
急がず焦らず失敗しながら身に着けましょう。
大枠を作る手順
実際にどのようにすれば良いのかということですが、実はマニュアル化するのが難しいスキルです。多くの場合は下記の手順をベースとしていますので、イメージするところから取り組んでみてはいかがでしょうか。
ここでは医療事務のスタッフへ大枠を考えるスキルを身につけていただくための、簡単な手順についてお話していきます。
①発想する
大枠を作るにはまず発想力が大切ですが、「そもそも発想力がない」と反論されることがあります。
そのような方には、普段から頭の中でシュミレーションしながら仕事をする習慣を身につけるようにお願いしています。
この習慣を身につけると、
「今診察中の患者様はあと5分くらいで終わりそうだ」
「こちらの患者様の方が診察時間が短いから先に通すよう提案してみよう」
など、ただ漠然と仕事に取り組むのではなく、先を読みながら方々に気を使って動けるようになります。
②細部を埋める
患者様の診察時間程度のことであれば簡単に予想がつきますが、もう少し大きなプロジェクトになると、順序だてて仕事をする必要があります。
例えば、紙カルテのクリニックへ電子カルテを導入することになったとします。
貴方はこのクリニックで滞りなく電子カルテへの移行を行わなくてはなりません。
「今より便利になる」ということは漠然とわかっていても、トラブルがないように電子カルテへ移行するためにはどのようにしたら良いでしょうか。
電子カルテを見比べて、買うモデルさえ決まれば、あとは紙がパソコンに変わるだけだ・・・とうまくはいかないでしょう。
・紙のカルテをどうするか
・紙カルテに書いてある情報をどう移すのか?
・患者情報の移行はどうするか?
・操作手順の説明会は何回必要か
実際にはもっと細かい手順が必要ですが、「電子カルテを導入する」という大枠の中で上記のような細かい問題を1つずつ解決しながら進めていくことができれば、大きな仕事も安心して任せることができる人材になれます。
③伝達する
上記の「電子カルテを導入する」を例にとると、電子カルテを導入することでどのようなメリットがあるか、費用対効果はどうなのか、といったことを院長先生へ伝え、許可をとる必要があります。
聞いている方のことを考えながら、まずは概要を伝えることがポイントです。
失敗を恐れない心
変化は失敗のリスクと隣り合わせです。
新しいことにチャレンジすることが難しい原因の1つは先述した発想力の問題ですが、同時に「失敗のリスク」を必要以上に考えすぎてしまっていることもよくあります。
医療事務の方であれば、「カルテの置き場を変える」とか「患者様に出す問診票を変える」など、そのような些細な変化でさえも拒否する方もいらっしゃいます。
例えその方が効率的だとしても、失敗の可能性を極力減らしたいという考え方が根付いてしまっている方も大勢いらっしゃるでしょう。
「多くの失敗は後の行動で取り戻すことができる。だからチャレンジするべきだ」
理想ではありますが、これができる人ばかりではないのが現実です。
失敗を恐れない心を身につけるには
私は失敗を恐れない心を作る為には、まず失敗しても問題ない小さなものを積み重ねていくことが大切だと思っています。
はじめから大きな失敗をしてしまうと、その後の発想や行動には必要以上に恐怖が付きまとい、発想力自体が鈍ってしまいます。
それを避けるために、失敗してもそれは些細なものだと考え、多少の失敗に慣れてしまえばいいのです。
それでも失敗することが心配なら
何かを行う際に失敗が心配なら、先述の「大枠を作る手順」にしたがって、まず全体を把握しましょう。
細部を考え、行うべきことを箇条書きにしたら、全体で失敗したときに1番大きなリスクを考えましょう。
もし失敗したとしても、そのリスクが許容範囲内なら迷わず行動に移し、許容範囲を超えてしまうようであれば、それを排除した別の方法を考える。
このように考えていけば過度に失敗を恐れる必要はなくなります。