特定疾患療養管理料を浮かせて医療費を安く済ませる方法

特定疾患療養管理料は、保険診療を行う医療機関にとって重要な収入源ですが、患者様の窓口負担は大きくなります。

毎回とはいきませんが、「少しでも窓口の支払を安くしたい」とお考えであれば、知識として知っておいた方が良い裏技(?)をご紹介します。

実行されると一時的に医療機関の収入減につながりますが、長い目で見たときにはクリニック様にとっても決してマイナスではありません。

Contents

特定疾患療養管理料分を安くする3つの方法

特定疾患療養管理料や、それに付随する診療にかかる料金を少しだけ安くする方法をご紹介します。

1、初診から1か月以内に再診を受ける

特定疾患療養管理料は、クリニックの場合、225点、月に2回まで算定できます。

「225点」と言われてもピンとこないと思いますが、「3割負担の方で、約680円窓口での支払が増える」と申し上げれば、負担の大きさがおわかりいただけると思います。

 

さらに、特定疾患療養管理料が算定される場合は、主病名が対象疾患で、お薬が処方されると、たとえ特定病名の薬ではなくても、「特定疾患処方管理加算」が算定されます。

例えば風邪薬でも算定されます。

 

これを支払わないようにするためには、「初診から1か月以内に診療(再診)を受けること」です。

最初の1回だけではありますが、特定疾患療養管理料と、特定疾患処方管理加算を合わせた、243点(約730円)を節約することができます。

2、薬の量を27日以内にしてもらう

特定疾患が主病の患者様に対して、特定疾患のお薬が28日以上処方されていると、「長期投薬加算」が算定されてしまいます。

「長期投薬加算」の点数は65点ですので、約140円窓口の支払いが増えます。

 

お薬の量を27日分にしてもらうことで、算定は「特定疾患処方管理加算」(18点)となり、長期投薬加算(65点)との差額の約140円の支払いを節約することができます。

3、同月内に2回28日分の薬を処方してもらう

ドクターに「27日分にして!」と言いにくいという方もいらっしゃると思います。

その場合は、月のはじめに診療にかかり、28日分の処方を受け、月末にまた28日分の薬を処方してもらうのも有効な方法です。

「長期投薬加算」(65点)は月に1回しか算定できないので、こちらも1回ではあるものの65点(窓口約200円)を節約することができます。

「長期投薬加算」は、特定病名に関連する薬でないと算定できませんので、特定病名のお薬が処方されている方が対象になります。

特定疾患で診察を受けたわけではないのに・・・

特定疾患の種類はかなりの数がありますが、レセプト上「主病」となっているだけで、患者様はほかの症状でクリニックにかかられていることもあります。

この場合はどうしたらよいのでしょうか。

※特定疾患療養管理料の算定要件は下記の記事に詳しく記載しておりますので、よろしければご覧ください。

喘息ではない

「特定疾患」、「主病」など、聞きなれない言葉が頻発する項目ですので、患者様目線で例をあげてお話ししたいと思います。

A子さんはある日発熱し、風邪になり、近所の内科を受診しました。
この内科は以前喘息でかかっていたことがありましたが、現在は別の病院で診てもらっており、あくまで風邪の症状を診てもらいたいだけでした。
「ところでぜんそくの調子はどうですか?」風邪で熱があるだけで、咳もしていないのに、少々不思議な感じがしましたが、
以前喘息でこの内科にかかっていたことがあったので、「特に問題ありません」と答えました。

喘息を「管理」していれば請求に問題はない

A子さんは、喘息持ちではあるが、内科にかかった疾患は風邪(感冒)です。

しかし、以前通院していた際のカルテ上の病名は、喘息が「主病」になっている可能性が高く、喘息について「管理」していれば、管理料が算定されてしまいます。

 

ですが、「診てもらいたいのは風邪だけ」なのに、喘息に対して管理料を支払うのは違和感があります。

喘息の様子を伺うことは、「管理」の一環ですので、たとえ症状が出ていなくても、ドクターと喘息の話をすれば、算定できてしまうことになります。

ただし、一言話題に出しただけで「管理」と呼べるのかは微妙なラインですので、疑問に思った際は詳細を聞くようにしましょう。

「別の医療機関で診てもらっている」と伝えれば回避できるかもしれない

上記の通りに診察が進めば、特定疾患療養管理料を算定することに問題はありませんが、

患者様の立場からすれば、診療費が上がることにつながります。

医療事務の方の説明次第では、クレームの温床とも考えられますので、医療事務の方はきちんと対策すべきです。

 

このように、もし目的とは違う疾患のことを聞かれたときに、

「喘息は別の病院(クリニックでも可)で診てもらっているので結構です。」

と伝えていれば、特定疾患療養管理料の料金を浮かすことができるかもしれません。

回避できる「かも」の根拠

医療機関サイドのお話になりますが、医療費を抑えるために、保険審査はどんどん厳しくなっています。

クリニックとしては、可能であれば高い診療点数を請求したいところではありますが、

同時に、患者様からのクレームや、保険者から厳しく査定される可能性を考えると、225点を積極的にとりにいくメリットは薄いと言えます。

 

いまのところ、同じ疾患に対して、2つの医療機関で受診した場合、どちらかの医療機関で、特定疾患療養管理料が減点されたという話は聞きませんが、

「突合点検」の結果でわかってしまうので、今後減点の可能性もあります。

医療事務に求められること

こちらの記事でも少しお話ししましたが、特定疾患療養管理料が算定されている理由を正しく説明できるスキルが必要です。

ドクターがそこまで説明してくれれば良いですが、かなり稀なケースですし、ある程度患者数がいるクリニックであれば、したくても時間が足りません。

そのため、「今日はいつもより高いんですが…」というお問い合わせには、医療事務の対応力の見せ所でもあります。

医療事務ができる確認

「特定疾患の病名がついていて、主病になっているので、月に2回この点数が算定されます。」

忙しいクリニックでは、このくらいの説明になってしまいがちですが、

「この記事で説明したケースに当てはまらないか」や

請求書発行時に、特定疾患が「主病」なのかを確認し、

請求に違和感があればドクターに確認するように心がけましょう。

 

「クレームになるのは怖いから、病名がついた時点で、今後の方針として管理料の説明をします。」

と考える医療事務の方もいらっしゃると思いますが、

説明をすることで、「 あそこの病院は高い」と勘違いされてしまうリスクがあることを念頭に置いてください。(本来は同じです。)

 

院長先生と綿密に打ち合わせを行い、そのような印象にならないトークを考えなくてはなりません。

まとめ

「今日の診察料は高いな」と思ったら、聞いてみるのが一番です。

どうしてどうして窓口の請求額が高くなるかは、まず先に医療事務(受付スタッフ)に聞いてみるのが良いでしょう。

満足のいく回答が得られなければ、担当のドクターに、聞いてみるのも良いと思います。

 

ただ、特定疾患療養管理料は、慢性疾患の病気で算定されます。

「これから長くクリニックにかかるのだから、ドクターの印象を悪くしたくない」と考える方は、悪くなっていないという「安心」のために支払っていると考えた方が、気が楽かもしれません。

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