医療事務は資格がなくてもなれるのだから資格を取得する必要はない
という主張を耳にすることがあります。
「未経験資格なし」で医療事務に就職している方もいるので、事実ではありますが、少々極論であり、万人に当てはまるとは言えません。
特に、未経験でこれから医療事務を目指す方にとって、資格の取得は使い方次第で1つの有効な手段となりえます。
「医療事務の資格を取得するべきか」を迷っていらっしゃる方はご参照ください。
Contents
面接官の立場から見た医療事務資格
医療事務の資格の必要性には賛否ありますが、
確実に申し上げられるのは、「医療事務の資格を取得していても、就職活動で大きく有利になることはない」ということです。
「必要ない」と主張する方の根拠はここにあるのですが、私はそれでも「資格を取得するのも1つの手段である」と考えます。
最近「医療事務の資格を取得する必要はない」という主張を鵜呑みにして、準備もせずに転職活動を行う方が増えており、
特に、未経験可の求人には、かなりの数の応募をいただきますが、以前に比べ資格を持っていないか方が目立ちます。
私の経験からで恐縮ですが、この項では面接官の立場から見た医療事務の資格についてお話していきます。
面接官の評価対象
未経験の方を採用する場合、面接官はどの点を見て採用を決めるとお考えでしょうか。
結論から申し上げれば、「のびしろ」「仕事への姿勢」「今までの社会経験」を評価の対象としています。
就職先がクリニックか病院かに関わらず「良いパフォーマンスを発揮でき、長く勤められる方」が歓迎されるため、これらの要素を備えている必要があります。
資格を取得することは「仕事への姿勢」に影響を与える
準備もせず気合だけで面接に臨んで玉砕・・・
資格を持たずに就職活動を行う人にありがちな行動パターンです。
確かに医療事務は資格がなくてもできる仕事ではありますが、
「医療事務のことは全くわからないので教えてください」では、まず合格することはありません。
医療事務の仕事は「資格がなくてもできる仕事」ではありますが、「知識ゼロでもできる仕事」ではありませんし、
自分で調べる努力を怠り、人任せに教えてもらおうとする姿勢で仕事に取り組む方は、習得に時間がかかり、長続きしないなど、魅力に欠けます。
いかに未経験可の求人であったとしても、「何をするかまったくわからず、仕事を始める準備もしていない」方に、魅力を感じる面接官はいないでしょう。
ここで「本気で医療事務になりたい」「医療医務になるためにこんな準備をしてきた」というアピールに説得力を持たせるのが資格の役目です。
絶大なる信頼度ではありませんが、医療事務の資格を取得していることで、少なくとも説得力が増す効果はあります。
ただし、難易度から考えても「資格を取得した」ということを誇らしげにアピールすることはお勧めしません。
あくまでスタートラインに立っているという点を自覚することがポイントです。
未経験で資格を取得した方の志望動機の例文は下記をご参照ください。
資格を取得せず独学でも良いか
私はお勧めしていませんが、医療事務の資格は独学でも勉強可能です。
お勧めしない理由と、どのような資格が独学でも受験可能かは、下記の記事をご参照ください。
必要な部分のみ独学で勉強している
中には「クリニックで必要な部分のみ独学で勉強している」という方もいらっしゃいます。
実務上は問題がない場合も多いのですが、「勉強した」の量と密度に個人差が出ますので、情報収集をどの程度行ったか、それが身についているのか、アピールできる必要があります。
ただ「資格はもっていませんが独学で頑張りました」とアピールするだけでは、気合軍団と大差ありません。
資格を取得せずに就職活動を行う場合は、あらかじめ準備が必要ですので下記の記事をご参照ください。
病院とクリニックそれぞれの扱われ方
資格の有無の重要性はクリニックに就職するか病院に就職するかで多少の違いがあります。
クリニックに就職する場合
クリニックの面接担当官の場合は、そもそも医療事務の資格を所有していることを重視していない傾向があります。
また、医療事務資格の種類を把握していない面接官もいるはずです。
合格率30%の診療報酬請求事務能力認定試験を突破していても、他の資格と一緒にされてしまうことも十分に考えられます。
しかし、前述の通り資格を取得しておらず、何の準備もしていない方が合格する可能性はほとんどありませんので、資格を取得することでスタートラインに立てると言いかえることもできます。
病院に就職する場合
病院の場合は医療事務資格は必須となっているところがほとんどです。
資格がない場合、例え合格したとしても、看護助手やクラークなど別の職種での採用となる場合もありますので、転職活動を行う際は注意してください。
また、資格の種類によって評価が変わる可能性があるので、診療報酬請求事務能力認定試験を突破している方は有利になる傾向があります。
難易度は高めですが、挑戦してみる価値はあるかもしれません。
その他医療事務の資格を持っているメリット
就職するときのメリットを書いてきましたが、働き始めてからも医療事務の資格が力を発揮する場面は多々あります。
勉強で身につけた知識は無駄にはなりませんので、長く医療事務として活躍されたいとお考えの方にとっては、
資格の「勉強をする」こと自体が、資格を取得することより意味があるともいえます。
下記の記事もご参照ください。
資格があることで給与が上がる場合がある
給料は決して高くない医療事務ですが、院内規定によっては、医療事務の資格を持っていることで、「資格手当」が付与される場合があります。
各病院・クリニックの規定によって概要は変わりますので、取得している資格によって手当の金額が変わってくることもあります。
クリニックでの医療事務の給料に関しては下記の記事にまとめてあります。
他のクリニックや病院へ転職するとき
長い目でみた時は、次の転職活動の際にも役立つというメリットもあります。
ずっと同じクリニックへ勤め続けられれば良いですが、
これから先、ご家族の事情など、自分ではコントロールできない事情で、別の医療機関へ転職せざるを得ないという状況も考えられます。
次の転職先は「経験者」となりますが、資格を持っていないという事実が足を引っ張ることも考えられます。
職場で引け目に感じることはない
就職する職場によっては、資格がないことを、同僚から指摘されるといったケースもあります。
資格の有無がランク付けのように扱われる労働環境そのものがすでに悪ですが、資格があることにプライドがある方がいらっしゃると、実際にこのような現場を見ることもあります。
「資格を取得している」ことと、「仕事ができること」は無関係ですが、働き出してからありがたみがわかるとおっしゃる方もたくさんいます。