スタッフのコミュニケーションスキルが低い
クリニックの院長先生からよくご相談の1つです。
コミュニケーション力は医療事務や看護師のように人と接する仕事であれば、最低限必要なスキルと言えます。
しかしこの「コミュニケーションスキル」という言葉はかなり広い範囲で使用されるため、「コミュニケーションスキルが足りない」という指摘が何を指すのか、どこを改善すればたかまるものなのか、指摘された方はよくわからないことのほうが多いのではないでしょうか。
私の経験からで恐縮ですが、どのような点から「コミュニケーション力がたりない」と指摘され、何をどう直したら良いのか処方箋を発行していきましょう。
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マニュアル化しすぎている
志望動機で「患者様とコミュニケーションをとった接遇をしたい」と入職してきたスタッフでも、そもそもコミュニケーション力が足りない医療事務は意外と多く、その様子は仕事ぶりに顕著に現れます。
例えば、
・誰にでも同じ台詞を使い、同じ抑揚で対応している。
・答えを知っている質問をされると、患者様の様子も見ずに早口になる。もしくは相手の質問が終わらないうちに答え始める。
・時間がなさそうな患者様にまとまっていない案内をしてしまう。
上記はあくまで一例ですが、これはご自身でマニュアル化した仕事を淡々とこなしているために起こります。
自分の行う仕事を進化させていないことが原因で、中には話す自動販売機と大差ない対応をしてる医療事務も存在します。
マニュアルを作ることがゴールではない
「自分の中でマニュアルを作りその通りに行動する」という方法は、医療事務の仕事を始めたばかりの時は有効かもしれません。
しかし、医療事務のように接遇の要素がある職種では、これを軸に説明の順番や話し方などのパターンを増やすべきです。
1つトークが出来上がった時点でコンフォートゾーンにいるのであれば、思考停止状態にあると言えます。
自分の中でのマニュアルが出来上がるということは、一通りの仕事は最低限できる状態にあるわけですから、さらにそれを進化させる努力をしましょう。
シンプルとワンパターンは違う
「物事をできるだけシンプルに考える」ということは大切なことですが、ワンパターンな対応を繰り返すことは全くの別物です。
保険診療のクリニックでは、最低限の接遇を行いながらたくさんの患者様を相手にするので、「相手の様子を気にするより、1人でも多く対応する」というコンセプトで仕事をされている方もいらっしゃると思います。
それでも「不安そうな雰囲気を察してあげる」程度の様子を気にする気遣いは必要です。
様子をわかっていて対応しないのか、そもそもわかっていないのかでは、仕事のレベルに大きな影響を及ぼします。
自費診療の場合
自費診療を行っているクリニックではさらに高度な対応が求められます。
保険診療に比べると患者様の対応に時間の余裕がある場合が多いので、患者様の状況をしっかりと把握していなければ良い接遇は成り立ちません。
また、同じ診療を受けにご来院される患者様でも、考え方が大きく違う場合ことは考えられますので、それぞれに合った対応が求められます。
誰にでも同じ台詞を使いまわしているのであれば、知らないうちに患者様離れが起こってしまっていても不思議ではありません。
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観察力を鍛える
このような「コミュニケーション不足」を解消する方法は「観察力を高めマネすること」です。
「私の場合は」という考えもあるとは思いますが、コミュニケーション力が高い方をひたすら真似しましょう。
先輩社員はどのようにトークを使い分けているか、レセプトの集計に入る前にどの順序で準備をしているか、空いている時間に何を準備して、まとまった時間をどう使っているのか・・・
観察力が高まればそれだけ見える範囲も広くなります。
始めはなかなか見える範囲が広がらないかもしれませんが、続けていくことで段々に気付きが多くなるはずです。
以前書いた記事ですが接遇レベルの向上を考えるのであれば下記の記事をご参照ください。
よく話すこととコミュニケーションをとることは違う
少々余談にはなりますが「自分はよく話すからコミュニケーション力に問題はない」と自分を評価している医療事務もたくさんいます。
医療事務の職場は女性が多いこともあり、お昼休みはスタッフルームで色々なことを話しているようですが、上記のような自己評価の方は「ずっとじゃべっていて話を聞かない方」が多いようです。
※他のスタッフの方がこっそり教えてくれたお話で、私が実際にプライベートな話を聞いたわけではありませんが、この傾向は様々なクリニックでお見かけします。