医療事務の仕事の内容は、「医療専門の事務仕事」です。
医療事務の仕事は範囲が広く、意外と知られていない仕事も存在します。
「医療事務の仕事」といえばレセプトと患者様対応では、イメージと現実のギャップが出てしまうので、
「医療事務ってどんな仕事?」をできるだけわかりやすく解説します
Contents
患者様と医療従事者を繋ぐ仕事
「事務」と名前が付きますが、受付や付き添いなど接遇の要素が強いので、一般事務職の方よりさらにコミュニケーションスキルが求められます。
また、多くは立ち仕事ですので、一般事務職から転職される方の中には、働いてみてからこの部分に戸惑う方もいらっしゃるようです。
レセプトは医療事務の花形ですし、クリニックでは特にレセプト技術に長けたスタッフは重宝されますが、
目立たない部分ではあるものの、患者様と医療従事者(ドクターや看護師)の間をつなぐのも重要な仕事です。
カルテ運び
電子カルテのクリニックではこの仕事はありませんが、紙カルテのクリニックでは必須のお仕事です。
これから診療の患者様のカルテを診療室に運び、看護師さんへ情報の伝達を行います。
イレギュラーな相談があった場合や、患者様の希望などを伝達するのも医療事務の仕事です。
患者様の症状を伺う
症状を伺い診断するのは医師の仕事ですが、受付で症状を話してくる患者様もいます。
症状を話している患者様に「私は医療事務なので・・・」という対応ではあまりにも冷たいので、概要だけ伺い、看護師と情報共有を行ったうえで、詳細は看護師から聞いてもらう
クリニックの医療事務としてはよくある対応です。
注意点としては、患者様の話を聞きすぎないことです。
詳しく症状を聞きすぎてしまうと、診察室でドクターが症状を伺った際に、「さっきも話しましたけど…」と言われるなどのクレームになりますので、
概要だけを聞いて、上手く話を切ることが求められます。
受付・案内の仕事
医療事務未経験の方にとって、医療事務の仕事として一番初めに思い浮かぶ内容は、受付業務ではないでしょうか。
受付業務と一言で言っても、診療内容によって対応方法は多岐にわたります。
ここではどの標榜科でも算定する初再診に触れておきます。
余談ではありますが、患者様全体の人数や、初診・再診の内訳をざっくりと把握しておくことは、クリニックの経営状況にも大きく影響を与えます。
詳しくは『クリニックの来院人数を把握するだけで生まれる効果』をご参照ください。
初診の患者様への対応
初めての患者様には、保険証をご提出いただき、問診票に住所・名前・既往歴などの必要事項を記入していただくことから始まります。
稀に「住所は書きたくない」などの主張をされる患者様もいらっしゃいます。
しかし、それでは有事の際に患者様へ連絡ができなくなってしまうなど、今後のトラブルが予想されます。
医療機関では個人情報保護の観点から外部に漏れることは無い旨を説明し、全てを記載していただくのも医療事務の大切な仕事です。
<参照>
問診票・保険証のお預かり
問診票と一緒に保険証を預かり、その情報に基づきカルテの作成、診察券を発行します。(カルテは電子カルテと紙カルテの場合があります)
診察室への案内は医療事務が行うケースもありますし、クラークや看護師が行う場合もあり、クリニックの規模や標榜科目によっても異なります。
この際に、他院での受診情報も確認します。
初めての患者様は受付の対応でクリニックの印象が決まる
はじめての患者様は普段より緊張してご来院されます。
この緊張をほぐすことは重要ななポイントです。
「初めて知らないクリニックに行く」患者様はきっと緊張しているはずです。
医療事務の仕事を何ヶ月かすると、その方にとってはいつもの職場になってしまい、そのことを忘れてしまう方は多いのです。
クリニックにいらっしゃるということは、体調がすぐれなかったり、様々な悩みをかかえてご来院されているので、前述の緊張も重なってナイーブになっていらっしゃる患者様も多く、
受付に立っている医療事務の対応で、クリニックの印象が決まる場合もあります。
余程横柄な対応をしない限りクレームになることはありませんが、マイナスにならない接遇ではなく、プラスになる接遇を心がけてください。
ただし、『丁寧すぎてもダメ!医療事務の接遇や言葉遣いは難易度が高い』でもお話している通り、
サービスの向上を言い訳にして1人の患者様に付きっきりになってしまっては仕事が進みませんので注意が必要です。
再診の患者様への対応
時系列でお話しすると、最初は診察券を受取るところから始まります。
月が変わるごとに保険証の確認をする必要がありますので、今月初めての方へ保険証の提示を促して、このとき一緒にお預かりします。
該当の患者様のカルテを出し(紙カルテの場合)、カルテと必要な資料がある場合はそれも一緒に診察室へ運びます。
※患者様を診察室へ案内する、カルテを診察室へ持っていくなどの仕事がどう分業されているかはクリニックにより大きく異なります。
レセプトの作成の仕事
レセプトには患者様の氏名・性別・生年月日など他に、加入している健康保険の情報や、病名、投薬、注射、処置、手術、検査、画像診断、リハビリなどの点数が記載されています。
約2年に1回改定されますが、どんな診療をおこなっているかで、算定できる診療報酬は決まっているので、クリニックではこの点数を合算して、保険者へ医療費を請求します。
保険診療がメインのクリニックでは、前述の会計業務とともに、ミスが多くなると経営状態にも影響を与えるとても重要な仕事です。
未経験で入社した方は、はじめのうちは関わらせてもらえない仕事かもしれませんが、いつでも関われるよう勉強を重ねましょう。
2016年2月現在、一部の医療機関を除き猶予がなくなりましたので、保険者への請求方法は、電子申請かメディアに書き込んで郵送する方法のどちらかです。
点数や算定条件は下記書籍でご確認ください。
査定分析
提出したレセプトは、保険者によって査定されます。
審査にかかる場合は、返戻されたり減点されたりします。
返戻や減点に疑問がある際は、意見書を提出したり、以後の対応を見直す必要も出てきます。
ただ保険者の言うことを聞くだけではなく、「どうしてそうなるのか」という点に疑問を持ちながら行う必要がある業務です。
カルテ管理の仕事
患者様の診療情報が記載されているカルテを管理するのも医療事務の仕事です。
通常は問診票や保険証の情報も同じファイルに入っているので、大切に扱わなければなりません。
主な病状の経過はドクターが記載することがほとんどですが、問診票や保険証にある情報(患者様の生年月日や住所・性別など)は、医療事務が入力します。
紙カルテで保管されているか、電子カルテが導入されているかで医療事務の負担は大きく変わります。電子カルテが導入されていても、紙カルテも併用しているというクリニックもありますので注意しましょう。
<参考>
会計業務の仕事
診療が行われた日のカルテの情報を基に診療報酬を算定し、患者様の窓口負担額を徴収します。
多くは忙しい職場ですので、短い時間で算定する点数を判断しなければなりませんし、算定漏れが多く出てしまうとクリニックの経営にも影響を及ぼす仕事内容です。
請求書の発行
患者様の視点からですと、ただレジを操作しているだけのようにも見えるので、「何故こんなに時間がかかるのか」というお言葉を頂戴することもあります。
その理由は請求書の発行に時間がかかるからです。
診療点数の知識が必要
請求書の発行は、診療点数の知識が必要です。
診療科やクリニックごとにチェック項目に差が出ますが、外来の場合、
どのような診療内容か(処置や検査はどのようなものを行っているのか)、
処方されている薬の入力、分量は正しいかどうかのチェック、
それに該当する病名が正しいかどうかをチェックします。
多くのクリニックでは電子化が進み、導入されているレセプトコンピューターや電子カルテの機能も上がっていますが、最終判断は人間ですので、頼り過ぎないように知識を磨きましょう。
その他の仕事
細かい部分ではありますが「その他」の仕事も存在します。
患者様への案内
案内にも様々ありますが、院内の案内や、今後の診療予定の案内、院外処方の場合は近くの薬局の案内などを行います。
診療別患者数統計業務
システムメンテナンス
電子化が進むと、電子系統のトラブルを全くゼロにすることは困難です。
その為定期的にシステムメンテナンスを行います。
実際に作業するのは業者であることが多いのですが、以前と比べて調子が悪い部分をまとめておいたり、メンテナンスの日程を院内で調整したり、業者とAPOをとったりするお仕事はこれに含まれます。
警察関係の対応
未経験の方からすると意外かもしれませんが、警察とのやりとりも発生します。
例えば、以前診療歴のある患者様が事故で亡くなったなどの場合、カルテの閲覧やコピーを求められたりします。
クリニックでは最終的には院長先生の判断となる項目ですが、特別な事情がなければ協力することになります。
講習会等の受講
義務である場合と、任意である場合がありますが、診療報酬の改定があると所属の医師会では講習会が開催されます。
講習会にはスタッフ全員が参加でないものもありますので、資料を作成して院内へ周知したり、必要な届出を行うのも医療事務の仕事の1つです。
コードホワイト対応
「コードホワイト」耳慣れない言葉だと思いますが、いわゆる院内暴力があった時の対応です。
「暴力」が起こってしまった場合、女性のスタッフは距離をとって、警察に連絡するなどの適切な対応が必要ですが、多少の暴言を受けることは避けられないかもしれません。
これが頻繁に発生することはまずありませんが、その場合は勤める医療機関を変えるべきかもしれません。