紙カルテを使用するクリニックの医療事務にかかる負担は大きい

現在診療報酬請求業務(レセプト)は、一部免除・猶予の医療機関を除き電子化に統一されています。

その為多くの医療機関では診療報酬請求業務(レセプト業務)は電子申告で行われていますので、全国的に見てもクリニックで電子カルテ、もしくはレセプトコンピューターを導入しているクリニックは増えています。

しかしカルテの電子化となると話は別です。

電子カルテは導入コストが高いため、診療報酬請求業務は電子化しても、カルテまで電子化するクリニックは都心部を除けばそこまで多くはないでしょう。

本日はこの紙カルテをテーマにお話していきたいと思います。

Contents

紙カルテの存在と負担

クリニックで働く上で、「使用しているのが紙カルテか電子カルテか」という事項は面接で確認しておきましょう。

働く上でかかる負担に大きな違いがあります。

紙カルテは負担が大きい

志望されているクリニックが紙カルテで診療を行っている場合は、「体力的な負担が大きい」とお考えになった方が良いように思えます。

まず、患者様の数が多ければ多い程、準備するカルテの量も増えるので、体力的な負担が大きくなります。

また、紙カルテは管理に手間がかかり、管理の状態が煩雑だと探すのが大変です。

「ない」というのは論外ですので、当然差探さなければなりません。

 

下記に挙げるのは、電子カルテのみで診療を行っているクリニックでは「必要ない仕事」です。

医療事務の負担を増やすので、紙カルテを使用しているクリニック(電子カルテと紙カルテの併用を含む)へ就職する場合は、次のことを覚悟しておきましょう。

経験しておくことも悪くはありませんが、まずはどのような負担があるのかご説明します。

紙カルテの業務負担①棚からカルテを出す

紙でカルテを管理している場合 「患者様がいらっしゃるためにカルテを棚から出す」という作業が必要になります。

総合病院などでは、紙カルテの整理の為にコンピューターシステムを導入しているケースもありますが、これはクリニックレベルで導入できる代物ではありません。

 

紙でカルテを管理する場合は、カルテに番号つけ、下二桁で管理するという方法がとられています。※次の項でお話します。

開院時はそこまで負担になることはありませんが、患者様の数が増えてくると、その管理を細かく行うことが難しくなるので、必然的に「カルテを探す」という仕事が増えます。

紙カルテの整理方法

言葉で説明するのは少々難しいのですが、ご存じない方の為に補足としてご説明します。

開院後初の患者様のカルテ番号を「0000番」とします。

※スタートの番号や桁数はクリニックよって異なる場合がありますが、仮にこのようになっていると考えてください。

2人目を0001番、3人目を0002番として患者様がコンスタントにいらっしゃると、101人目は0100番、102人目は0101番となります。

この時、0000番の隣に0100番、0001番の隣に0101番を・・・・

というように、下二桁で整理されています。

紙カルテの業務負担②破棄

さらに大変なのは「紙カルテの破棄」です。クリニックでは特に紙カルテを保管するスペースが十分ではない場合が多いので、定期的にカルテの破棄を行わなければなりません。

医師法により「カルテの保存期間は最終来院日より5年」と決められています。

 

カルテ破棄は義務ではありませんが、先ほど申し上げた院内スペースの関係上どこかで破棄しなくてはなりません。

電子カルテであればそもそも破棄の仕事はないのですが、紙カルテを使用している場合は大きな業務負担になります。

破棄を行う時期や、カルテのおおよその保存期間は医療機関によって異なりますが、カルテ破棄を行う手順の概要は下記の通りです。

カルテ破棄の手順

①破棄するカルテのリストを出す

②破棄カルテをまとめる

③まとめた破棄カルテをしかるべき方法で処理する

ぱっと見た限りではそこまで負担が大きい作業ではないようにも思えますが、開院から6,7年が経過しており、新規の患者様が多い診療科のクリニックであったりすると、この量は膨大です。

 

さらに、最低でも最終来院日から5年以上経過している必要がありますので、破棄するカルテのリストを出したら(手順①に相当)すぐに作業に取り掛からなければなりません。

因みに私のクライアント(クリニック)で紙カルテが存在しているのは2院のみです。

他のクライアントは電子化していますし、これからクリニックを開院される院長先生には、紙媒体を極力使用しないようにお話しています。

※東京及び東京近辺のお話ですので、郊外のクリニックですと紙カルテを使用しているクリニックの割合はもっと多くなることが予想されます。

紙カルテの業務負担③「電子カルテへの移行」

紙カルテを使用しているクリニックで働く際にかかる負担の最後は「電子カルテへの移行」です。

私も実際にクライアントの電子カルテ移行へ立ち会いましたが、その業務量が膨大であったのが非常に印象的でした。

さすがに紙カルテの中身を全てPCへ入力するとなると、作業を行うのはそれを専門に扱っている業者の方ですが、電子カルテへ移行すると環境が大きく変わってしまうので、クリニック内のオペレーションを変更する必要がでてきます。

つまるところ運営マニュアルを1から作り直す必要性がでてきます。

 

さらに、場合によってはドクターや看護師への電子カルテの使用方法を指導したりするケースもあります。

本来であれば、電子カルテ業者の方による使用方法の講習や、サポートセンターへの問い合わせればわかることでも、

「聞きたいことを知るのに時間がかかる」という理由から、何度もドクターに呼び出されている医療事務もいます。

ドクターや看護師はパソコン関係に疎い方もまだまだ多いのです・・・

まとめ

「電子カルテを使用していないクリニックには就職するな!」・・・とまでは申し上げませんが、

選択肢があるのであれば、紙カルテを使用しているクリニックへの就職はあまりお勧めしません。

地域によっては電子カルテが完備されているクリニックは少ないことも考えられますので、「体力的に業務的上の負担が増える」という覚悟はしておいた方がよろしいのではないでしょうか。

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