「医療事務の転職活動を行ってクリニックに就職すると昇給やボーナスが無いのではないか」と心配される方がいらっしゃいます。
「クリニック」と言っても、ドクターが院長先生のみで行っている個人のクリニックから、大勢のドクターを抱え組織的に経営されているクリニックまで、その規模にかなりの差がありますが、医療事務にどのような昇給システムが用いられることが多いのか見てみましょう。
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医療事務の定期昇給
法的に定期昇給が義務付けられているわけではありませんし、「全く昇給が無い!」というご相談を受けたこともありますので、
おそらく全てのクリニックで行っているわけではないと考えられますが、私の知る限り、定額昇給のシステムを導入しているクリニックはわりとある印象です。
定期昇給は毎年1回
定期昇給は日本の古い文化として培われているのも影響していると考えられますが、金額は多くはないものの昇給制度を導入しているクリニックも数多くありますのでご安心ください。
私の知る限りで恐縮ですが、医療事務の昇給額は毎年2,000円~3,000円程です。
看護師の場合はもう少し高いですが、それでも3,000円~5,000円ですので、給料が増えるという点では物足りないかもしれません。
定期昇給の効果
年次があがることで給料が増える「定期昇給」のシステムは、スタッフへやる気と安心感を与えることができ、スタッフの定着に役立ちます。
年1回自動的に給料が上がる定期昇給のシステムは、「行う仕事が大きく変わったわけではないのに給料が増える」と解釈されることも多いので、やや否定的な院長先生がいらっしゃるのも事実です。
「毎年上がるのが当然」のような考え方は改めるようにしてください。
定期昇給が全くないクリニックにお勤めの方は、新しく採用を行う労力と費用を考えれば、決して高い金額ではないことをベースに、「クリニックの安定」に必要である旨を院長先生へ交渉してみるのも良いでしょう。
医療事務の定期昇給は必須か
労働基準法上は昇給をしなければならないという決まりはありませんが、就業規則があるクリニックの場合は、就業規則の賃金規定の中に昇給に関する記載があるはずです。
就業規則に定期昇給に関する記載がある場合は定期昇給をしなくてはなりません。
多くの場合は業績と医療事務スタッフの勤務態度や業績によって金額が決まるといった記載がありますが、定期昇給で大幅な給料アップは見込めないでしょう。
昇給が無い場合のアプローチ方法
就業規則がないクリニックでは、年によって定期昇給があったりなかったりするケースもあり、これがスタッフのモチベーションに大きく影響することがあります。
毎年行っていた昇給を今年は行わないというのであれば、院長先生が事前に個別面接を行い、定期昇給ができない理由を1人1人に説明し、理解を得る行動は必要です。
アルバイトにボーナスを出さなくてはならないか?
前項と共通しますが、アルバイトの医療事務にボーナスを出さなくてはならない決まりはありません。
これは社員であってもアルバイトであっても同条件ですが、就業規則がある場合はボーナス支給に関して詳しい記載がある場合があります。※就業規則上は「賞与」と記載されます。
院長先生のお考え
私の知る限り、アルバイトの医療事務へボーナスを支給することに否定的なお考えの院長先生が多い印象です。
クリニックの運営上、社員とアルバイトの待遇を明確に区別する目的で、アルバイトのスタッフにはボーナスを支給しないというクリニックを良く見かけます。
このような社員とパートの条件が明確に分かれているクリニックでは、社員スタッフが運営の多くを担っている場合が多く、ボーナスは主に中心スタッフをねぎらう目的で設定されています。
ただし、アルバイトが多いクリニックの場合は、賞与の規定にはほとんど差が無いクリニックもありますので、面接の際に確認すると良いでしょう。
質問例は『給料と休みと残業とボーナス!面接で質問しにくい条件面の質問例』を参考にしてください。
アルバイトにもボーナスを支給するべきか
医療事務のアルバイトスタッフは時給制で労働しているので、年次ごとに定期昇給を行っていてるクリニックは珍しいと思われます。
時給の改定は固定費の増大に繋がるので避けたいというのが院長先生の本音でしょう。
このような時はパートスタッフにもボーナスを支給することで回避できます。
年内の利益に余裕がある院長先生は、「毎年出せるわけではないが」と前おきをしつつ、特に戦力になっているパートスタッフに対してボーナスを支給されることをご検討されてはいかがでしょうか。
契約書上「ボーナス(賞与)の支給なし」と記載しているのであれば、そのスタッフにとってはもらえないはずのものですから、たとえ少ない金額でもその効果は高くなるでしょう。