「公共機関の遅れにより遅刻したので遅延証明書を添付します。」
一見理由に問題ないように見えます。
1回や2回であれば問題ありませんが、10分程度の遅刻を繰り返し、その度に遅延証明書を提出してくるとなると話は別です。
遅延証明書があれば遅刻は帳消しになると考えている医療事務や看護師は意外に多いのですが、残念ながら、遅延証明書に免罪符のような効果はありません。
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まずは就業規則を確認する
遅延証明書の取り扱われ方は、医療機関ごとに異なります。
通常遅刻に関する規定は就業規則に明記されており、看護師・医療事務ともに共通事項に該当しますが、その中で、次の2点を確認しておきましょう。
①「遅刻」は何時からか?
②遅延証明書の扱われ方
特に②に関しては、遅延届があれば遅刻は帳消しになるとお考えの方も多いのですが、実はそこまでの大きな効果はありません。
遅延証明書は免罪符ではない
遅延証明書があれば遅刻に関する全てが免除される、「免罪符」のように考えている方も多いのですが、これは違います。
詳しくは下記にてお話ししていますが、院内規定に「遅刻の際は遅延証明書を添付していれば減給しない」と明記されていない限り、
遅刻分を給料から天引きすることは合法です。
減給されなくても賞与に査定に関わる
「遅刻の際は遅延証明書を添付していれば減給しない」と就業規則に明記してあったとしても安心はできません。
医療事務の職務評価には影響する可能性が高く、他の評価と合わせての査定になるため、遅刻1回につきどれだけ査定が下がっているか、詳細はわかりませんが、賞与の査定には考慮材料として使用されていると考えてよいでしょう。
遅延証明書が免罪符でない所以です。
遅延証明書の取り扱い
遅延証明書の扱いはクリニックによって異なります。
例えば、遅延証明書があれば、無条件に遅刻を帳消しにしてくれるルールもあれば、月の遅刻の回数に応じて対応を変える決まりもあります。
3回で1回遅刻
多くの場合、1カ月間に遅刻を3回すると1欠勤として扱われる旨が記載されています。
記載されていても実際にそれを行っているケースはほとんど見ませんが、悪質な遅刻を繰り返しているスタッフには適用されることもあります。
インターネットの遅延証明書は認めない
公共機関に遅延が発生した場合、駅や停留所は遅延証明書の受取で混みあうため、ホームページに掲載されている遅延証明書をプリントアウトすることも可能ですが、
これを認めないとしているケースもあります。
医療機関は時間に厳しい
就業規則の中では明記されていないかもしれませんが、公共機関の遅れが理由であったとしても、遅刻を繰り返すスタッフは信用されません。
これは仕事ができる方であってもです。
業界によっては、仕事ができれば、多少勤怠がルーズでも評価が下がらない体制をしいていることもあるかもしれませんが、
医療機関では、一般の会社に比べて遅刻の概念は厳しいと考えてください。
ギリギリの出勤と遅刻は違う
医療機関は時間に厳しいので、遅延証明書を日常的に利用している方は、遅刻多い「遅刻キャラ」のイメージがつきます。
お話ししてきたように、そもそも乱発するものではありませんが、ここにさらに「出勤時間がギリギリ」という情況が重なることで、評価がさらに落ちてしまうケースがあります。
ここはタイムカードのコピーをとり、数を明確にすることで対抗しましょう。
遅刻が多い方は、「多い」ではなく「何回なのか」を明確にし、評価を受ける際の面談で相談してみるのも良いと思います。
出社時間がギリギリであることと、遅刻は一線を画しているわけですから、それが勤務態度の評価に関わってしまうのはさすがに納得がいかないでしょう。
特に遅刻キャラが定着してしまっている方は、毎月締め日にタイムカードのコピーを持っておくことをお勧めします。
コピーでなくても、スマホで撮影しておくだけでも良いです。
公共機関の遅れが認められないのはおかしい?
電車やバスの遅延で遅刻したのに、減給扱いになるのは納得がいかない
というご意見もあると思います。
クリニックの立地条件、最寄駅や停留所の使用状況により、柔軟に規則を決めた方が良い項目ではありますが、
例えば、東京でJR線や地下鉄での通勤あれば、通勤ラッシュの時間帯は、5~10分程度は日常的に遅れます。
いつものことであっても、遅延している以上、駅員さんに申し出れば遅延証明書を受け取ることはできませうが、
社会人であれば、日常的な遅れを見越して出勤するべきです。
人身事故で電車がストップした
予想以上の悪天候で大幅な遅延が発生した
のように、大きな遅れであれば、不可抗力での遅刻と認められないことはありませんが、あくまで遅延証明書は温情の判断材料と考えておきましょう。
「自宅を出る時間を早めろ」はパワハラか?
言い方にもよると思いますが、上記のように5分~10分程度遅刻し、遅延届を提出している方には、口頭、もしくは書面でこのような注意は必要です。
規定時間より前に出勤しているのに、「もう少し早く」はパワハラにあたるかもしれませんが、
遅刻を繰り返しているスタッフに対して、事実に基づいて院長先生や管理者が自宅を早く出るよう指示することに問題は感じられません。