給料が安くても医療事務が人気職業なのはなぜ?

人気の職業と認知されるようになってから久しい医療事務のお仕事ですが、正社員であっても給料の水準は決して高くはありません。

では何故人気の職業なのでしょうか?

クリニックで正社員で雇用された場合の具体的な給料の金額は、下記の記事にてお話します。

参照:クリニックの医療事務の給料相場は高い?それとも安い?

働く上で給料が高いか低いかというお話はとても大切ですが、目先の利益だけを見ていても良い転職はできません。

もしあなたが「給料が低い」ということだけで医療事務になることを迷っているのであれば、是非ご一読ください。

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医療事務が人気の理由を整理してみよう

『 クリニックの医療事務ではたらく5つの魅力』でもお話していますが、医療事務にとって最大のメリットは、給料ではなく過去の経験を生かすことができるという点です。

今回はまだお話していないメリットについて簡単に触れておこうと思います。

学歴による給料の差が少ない

「給料が最大のメリットではない」と言っておきながら恐縮ですが、学歴による給料の差が少ないというのは、医療事務の大きな特徴の1つです。

少々前のデータになりますが、日本医療労働組合連合会による2009年賃金実態調査を見ると、下記のような記載があります。

 
初任給35歳50歳
医療事務高卒182,662円267,714円349,769円
医療事務大卒157,439円258,266円355,803円

※日本医労連 2009年度賃金・労働時間実態調査より

上記の記載内容を見る限り、医療事務の給与は決して高水準ではありませんが、勤続が長くなると学歴による差が小さくなっていることがわかります。

このデータは「学歴より経験と実力が評価される」ということを物語っていますが、初任給ではなく先々のことまで考えたとき、医療事務の仕事は低水準でしょうか?

職種の選択肢が広い

医療事務として仕事を行う場合、正社員以外にも、契約社員、アルバイトなどの選択肢があります。

どの雇用形態が良いかはライフスタイルを始めとするご状況によると思いますが、雇用形態を選んで勤務時間を調整できるので、子育てをしながら仕事を行うことができます。

ただしパート勤務で希望通りの時間に働くとなると、そのほとんどは経験者ですので、未経験者でパートで平日のみといった働き方を認めてくれるクリニックは非常に少ないと思います。

医療事務のパート勤務に関しては下記の記事にまとめます。

医療事務のパートで働くことのメリットとデメリット
医療事務の募集にも正社員での募集とパートの募集があります。どちらを希望するかは様々な基準がありますが、最近「どちらで就職したほうがい...

時給が高く転職のハードルが低い

時給は一般事務に比べると高めです。

東京都23区内で医療事務のアルバイトを見ていると、3年程度のご経験があれば時給1,200円~1400円程度の募集があります。

即戦力であることが条件なのは言うまでもありませんが、特にクリニックでは過去クリニックの医療事務を経験されてきた方が重宝されます。

また、転職のハードルが低いというのもメリットになります。

未経験から就業するまでのハードルはやや高いですが、

就業後に経験を積んで実力を上げれば、キャリアを評価されての転職が可能ですので、一般的な事務職と比べると転職のハードルは低いと言えます。

勤務地を選ばない&復帰しやすい

取得した資格や培った経験は全国どこでも有効です。

新卒で医療事務を目指すなら覚悟が必要
「新卒で医療事務になる」ということ自体は否定しませんが、これをかなえるには相当の覚悟が必要です。私も何名か新卒で医療事務を希望してい...

地域やクリニックにより仕事の仕方に誤差はあるものの、医療制度の基本は全国で統一されているので、経験したことのある科目であれば、比較的地域差による仕事内容は小さいといえるでしょう。

ご家族の事情等で勤務地を変更しなくてはならなくなっても、その土地で仕事を見つけることは難しくありませんし仕事を離れなくてはならない事情ができてても復帰しやすいといった点もあります。

こういった点から特に女性に支持される傾向にあります。

「1つのクリニックで勤続20年」というスタッフばかりではありませんが、転職をしながら、長く医療事務として仕事をされている方はわりと多くお見かけします。

医療事務は特別給与が高い職ではありませんが、勤務年数を重ねることでスキルを向上させていけば、500万円以上の年収を得ている人もいます。

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医療事務になるデメリット

「人気の職種」という色眼鏡で見ると、どうしてもメリットばかりに目が行ってしまいますが、今度は医療事務になるデメリットを挙げてみましょう。

残業

クリニックの医療事務は主にレセプトの残業が発生するケースが多く、これが医療事務のデメリットとして度々上がります。

個人情報が騒がれる現在では考えられませんが、レセプトが紙ベース主流の時代は、自宅に持ち帰って内職のように仕事ができたようです。

しかし、現在では電子化に加え個人情報保護の観点からも、クリニック外で作業を行うことはできないのが基本です。

その為クリニック内で仕事をしなければならず、結果として残業時間は多くなります。

「自宅での内職は残業と呼ばないのか」という点に関しては様々なご意見があると思いますが、ここでは単に帰宅時間が遅くなるという観点でお話しています。
考え方が新しいクリニックでは、電子化を通してレセプトによる残業時間を極力少なくする取り組みが行われています。長い目でみた時はこのような考え方のクリニックに就職するのも良いでしょう。

仕事の参入障壁が低くなってきている

もう1つのデメリットは、医療事務のスキルの参入障壁が低くなってきていることです。

将来的にこの点を心配している方も多いと思いますので、解説します。

電子カルテ・レセコンの普及

電子カルテやレセコンが登場する前は、レセプトの作成は誰でもできるものではありませんでした。

そのため、全てを手作業で行う場合は、熟練された専門技術が必要になり、技術を持つスタッフは今以上に重宝されました。

ところが、現在では、知識が豊富ではない医療事務でも、仕事を行うことができるようになっています。

電子カルテやレセコンの機能向上により、操作を覚えれば大方の仕事がこなせるようになっており、未経験で入職しても、戦力になるまでの時間が短くなっています。

ただしPCの扱いが極端に不得手な方はこの限りではありません

医療の電子化は医療事務の間口を広くし、医療事務未経験の方でもいち早く戦力になれるという利点がありますが、一方で技術習得の参入障壁が低くなっているという点は見逃せません。

これは、給料の水準が低い理由の1つですし、他の医療事務より抜きん出るためには、医療事務に付随したほかのスキルが必要になってくることを示唆しています。

資格の有無が重要視されない

長い目で見ると資格は取得しておいた方がよいですが、現状資格の有無が就業に大きくは関係しません。

これも医療事務の参入障壁が低くなっている要因です。

医療事務の希望者が多く、誰でもある程度の仕事をこなせるのなら、給与水準が上がらないのは当然のことともいえます。

クリニックにより異なりますが、医療事務の資格があることで「資格手当」の支給対象となる場合もあります。

これから長い間本気で医療事務として働こうと考えているのであれば資格取得の検討はされてみても良いのではないでしょうか。

医療事務の資格については下記にまとめます。

医療事務の資格は必要ない!?未経験なら就職で有利になる場合も
「医療事務は資格なしで就職している方もいるので、資格を取得する必要はない」という意見がありますが、これは事実ではあるものの極論です。特に未経験で医療事務へ就職を考えている方にとって、資格を取得することは就職を有利に進める有効な手段です。

また、自分にとって資格が必要かどうかを迷っている方には、下記の記事が処方箋になると思います。

医療事務の資格が必要かどうかは仕事の進め方から判断するのがベスト
医療事務は資格が無くても仕事をすることができます。そのため業務上は医療事務の資格は必須ではありません。しかし、私は、資格を取得することにメリットがある方と、そのメリットが少ない方がいらっしゃると考えます。仕事のタイプ別に検証してみましょう。

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AIの普及で医療事務は無くなるか

医療事務になるメリットはその将来性にあるわけですから、この点が揺らいでしまうと一気に魅力は低下します。

今後10年~20年で

・電子化が著しく進み、全ての医療機関で自動でレセプト点数を算定できるようになる。
・保険制度が著しく変化し、現在の知識の大半は使用できなくなる
・そもそも保険制度が破綻する可能性がある。
・AIの普及で医療事務の仕事の大半は必要なくなる

などという話を聞くこともあります。

たしかにこのうち1つでも実現すれば、現在の医療事務の仕事しかできない方は適応できなくなるかもしれません。

しかし、そもそも先の話は誰にも確証は持てませんし、そこまで大きな変革が、これから先20年の間に、全ての医療機関に発生するとは考えにくいというのが私の意見です。

その一方で、今後は長い医療事務の経験とそのスキルのみで、高い給料を得ることは難しくなるでしょう。

クリニックで年収500万円以上の給料を得ている医療事務の仕事内容』にもあるように、医療事務のスキルと平行して、クリニックに役立つスキルを身につける努力を忘れないでください。

クリニック専門医療コンサルタント。
都内クリニックの事務長を11年経験し独立。
現在は関東圏のクリニックへ人材教育と採用活動を通したコンサルティングを行っている。医療事務・看護師の面接回数は合計800回を超える。

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