「御机下」と「御侍史」の読み方と使い方は医療業界で必須のマナー

「御机下(ごきか)」「御侍史(おんじし)」という言葉をご存知でしょうか?

使用されているのは主に医療業界(医療業界だけなのかもしれませんが)で、紹介状を含むドクターへ手紙を書く場合は必須のマナーです。

聞きなれない言葉かもしれませんが、医療事務のお仕事をされる方にとっては必須のマナーですので、覚えておいて損はないと思います。

(2016.9.13 追記)
当初想定していた以上にご興味がある方が多いようですので、医療業界での使われ方を合わせて追記しました。

医療業界には独特のマナーや決まりがあり、クリニック内や地域の病院・クリニックとのやり取りの中でも使用しますので、知らないことで恥をかくことが無いようにしたいものです。

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御机下

「御机下」は「ごきか」と読みます。

「おつくえした」「おんつくえした」はともに間違いです。

読み方は「おんきか」でも良いようです。

御机下は、個人に尊敬の念をこめて御呼びするときにつける言葉です。

「○○先生 御机下」のように使用し、個人が特定できている場合に使用します。

直訳すると「直接お渡しするのも恐れ多いものですので、机の下に置かせていただきます」となりますが、

つまるところ「机の上に置くほどの重要な書状ではございません」という意味です。

「机の下に置く」という表現に違和感がありますが、それだけへりくだった表現ということです。

御枕下は間違い

(2018.4.26 追記)先日あるドクターとお話ししていたら、「田中(仮名)先生 御枕下」というあて名の紹介状が来たというお話がありました。

似たような文字で見逃すドクターもいらっしゃると思いますが、間違えると所属のクリニックの院長先生が恥ずかしい思いをするので、同じ間違いをされている方は正しく理解してください。

正しくは、枕(まくら)ではなく机(つくえ)です。

御机下を使用しても普通の手紙に扱われる

「御机下」を使用することで、手紙の優先順位が低くなることはありません。

また、文字通りに扱われてしまっては、ドクターの机の下は常にお手紙だらけですが、実際にそのような扱いをされることはありません。

ドクターは医療業界で最高峰の資格ですので、それだけ偉いというか、尊敬されていることを垣間見れる表現でもあります。

(2016.9.13 追記)紹介状を作成する際どこで改行したら良いのか?」という質問を頂戴しました。下記のように記載しましょう。※特に改行位置やスペースに注意してください。

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御侍史

「御侍史」は「おんじし」と読みます。「ごじし」でも良いようですが、「おんじし」が一般的です。

「おさむらいし」ではありませんのでご注意ください。

「侍史」とは、簡単に申し上げると、秘書のような仕事をされる方で、昔の位の高い方にはこの「侍史」がいたそうで、その名残といわれています。

脇付の「御侍史」は、直接お渡しするのは畏れ多いので、侍史の方を通してお渡ししますという意味で、

「私の手紙など、ご本人が直接読まなくても、侍史の方から『YASUさんから手紙がきてましたよ』程度に伝われば十分でございます」というようなニュアンスです。

ドクターには、日々大量の手紙や書類が届きますので、「手紙が来てましたよ」の声かけだけではゴミ箱へ直行だと思いますが、

御机下と同じく、御侍史を使用しても、直接ご本人に届くので余計な心配はいりません。

御待史・御史侍は間違い

御机下と比べ御侍史は間違って記載されることが多く、個人経営のクリニックから送られる紹介状の中には、「御待史」(これでは「おんたいし」です・・・)と書かれているものもあります。

正しくは「待」ではなく「侍」です。

その他、「御史侍」(おんしじ・侍と史の位置が入れ替わっています。)という書き間違いも拝見したことがあります。

読み方や漢字を間違えただけで、大きなトラブルにはならないと思いますが、医療事務としては恥ずかしい間違いの1つです。正しい知識を身につけましょう。

業者からの手紙は御侍史が使用されている場合が多い

業者がドクター宛てにビジネス文書やメールを書く際は「御侍史」が使用されるケースが多く、「御机下」を使用されているケースはあまり見かけません。

医療業界では使い方が詳細に分けられている訳ではありませんので、紹介状などに記載する際はどちらを使用しても問題はないのですが、

業者からの手紙の多くに御侍史が使用されているのは、外部からの書類は、侍史の方が一括管理していたからではないかと考えています。

※現状はっきりとしたことはわかりません。

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御机下と御侍史の違い

御机下と御侍史の違いが気になるところですが、医療業界では明確な使い分けのルールはありません。

御机下と御侍史の違い

どちらも医師本人の元へ渡るので、医療業界における違いはないと考えても良いのですが、

あえて違いを申し上げると、侍史を通しての連絡か、直接机の下に届くのかの違いです。

ドクターの中でも、総合病院の院長クラスの医師には、秘書がついていることが多いことから「御侍史」を使い、そうでないドクターへは「御机下」を使用するなど、

気を使われるのであれば、多少選択の幅があります。

YASUはどうしているか

(2016.9.13 追記)前述のように「御机下」と「御侍史」の使い分けは医療業界では明確に定められているわけではありません。

ではYASUさんはどうしているんですか?という質問をいただきましたのでお答えしておくと、私はほとんどの場合で「机下」を使用することにしています。

前述のように、多くの業者は「御侍史」を使用していますが、この点を指摘されたことはありません。

主にドクターへ宛てた書面で使用しますが、侍史を雇っているドクターは一握りですので、本来の意味を考えて「机下」を使用することにしています。

開業医や勤務医の先生方の状況や、ドクターのキャリアにかかわらず、侍史はいなくても机はあるはずですし、

仕事上、書面での連絡は、特定のドクターへ宛てたもののみですので、本来の意味からしても妥当だと考えています。

ただし、秘書がいらっしゃることを知っている場合は、本来の意味を考えて「御侍史」とすることがあります。

(2016.9.28 追記)その他にも医療事務に覚えておいて頂きたいマナーは下記にまとめてあります。

御机下と御侍史だけじゃない!医療事務なら最低限覚えておきたいマナー
御机下と御侍史を多用するのは医療業界特有であることは『医療業界では必須!「御机下」と「御侍史」の読み方と使い方』の中でお話しましたが、その他...

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御机下と御侍史の共通部分

どちらにも言えるのが、古い表現であることと、自分より格上の方宛に強い謙遜を表していることです。

また、どちらもほぼ医療業界でしか見かけない表現ですが、医師専用でも、医療業界のみの言葉でもありません。

少しだけ医療事務経験がある方の中には、稀に「様」より丁寧な表現だと考えている方もいらっしゃいますが、

一般的な表現とは言えませんので、誰にでも「御机下」や「御侍史」を付ければ良いというものではありません。

医療事務の方は、医師宛の手紙のみに使用するようにしましょう。

御中との併用は不可

御机下、御侍史、どちらにも言えることですが、団体の敬称といわれる「御中」とは併用できません。

医療法人○○会 △△病院(クリニック)御中
院長 田中 太郎 先生 御机下

この表記は間違いですので注意してください。

御中に関してはこちらに詳しく記載しています。

御机下と御侍史だけじゃない!医療事務なら最低限覚えておきたいマナー
御机下と御侍史を多用するのは医療業界特有であることは『医療業界では必須!「御机下」と「御侍史」の読み方と使い方』の中でお話しましたが、その他...

医師宛の手紙は必ず御机下か御侍史が必要か?

医師の間で手紙やメールのやり取りをする際は、「御机下」や「御侍史」は高い頻度で使用されています。

医師同士の場合は、省略されるケースもあるようですが、診療情報提供書(紹介状)など、医療機関同士でやり取りする文章に関しては、どの医療機関でも必ず使用します。

(2017.7.20 追記)御机下や御侍史を使用するのは医療業界の文化ですので、紹介状などの医療機関同士の場合は原則使用しなければなりません。

一方でこの文化を奨励している30代以下のドクターは少数ですので、比較的若いドクターへ手紙やメールを書く場合はその旨も知っておくと良いでしょう。

私の周りの若手のドクターは、「脇付は必要ない」とおっしゃる方が多いのですが、

私のルールでは、お会いしたことがないドクター宛の手紙やメールは、相手の年齢に関わらず「御机下」を使用することにしています。

お会いしたことがあるドクター宛の場合は、コミュニケーションの状況次第で、使用を省くこともあります。

「御」をつけるのは間違いではないか?

『様」と『御』が共存することで二重敬語になってしまうため、本来は『机下』とするべきである

そもそも「御」が机や侍史を高位にしてしまっている

というご指摘もあります。(日本語難しいですね・・・)

医療業界では慣習的に「御侍史」「御机下」の形で用いられていますので、医療業界で使用する場合は「御」を付けるのが無難です。

医療事務の仕事では、言語としての正しさより、医療業界としての正しさを優先するべきですが、

医療業界以外で使用する際は、上記のような理由で間違った使い方だと知っていて損はありません。

年賀状など他の手紙の場合

「田中(仮名)先生 御机下」という記載は私信のときにも使用できます。

勤めている病院以外の先生宛の場合は、使用しても良いと思いますが、

現在お勤めのクリニックの院長先生のように、一緒の現場で働いている先生であれば、そこまでかしこまる必要はないのではないかと考えます。

この場合「田中(仮名)先生」でも十分尊敬の念は伝わります。

「御机下」「御侍史」としてしまうことで事務的な印象を与えてしまう懸念もありますので、使いどころは間違わないようにしてください。

「使えばより丁寧になる」は間違い

「強い謙遜を表している」というお話は先述の通りですが、誰にでも使用すれば良いというものではありません。

ドクターの場合はドクター同士でも使用していますので、医療事務がドクターへ宛てる書面で使用するのは問題ありませんが、

事務長様や婦長様など、他の役職の方へは使用しないように注意してください。

奥様と連名で送るときは

奥様と連名で年賀状を送るなら敬称はそろえた方が良いでしょう。

奥様がドクターでなくても「先生」と敬称を付けるご職業であれば「先生」で統一し、そうでなければ「様」で統一するのが良いと思います。

クリニック専門医療コンサルタント。
都内クリニックの事務長を11年経験し独立。
現在は関東圏のクリニックへ人材教育と採用活動を通したコンサルティングを行っている。医療事務・看護師の面接回数は合計800回を超える。

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